首長ら1万人超学ぶ=震災対応、実践で研修―人と防災未来センター・神戸

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阪神大震災の教訓を伝える「人と防災未来センター」(神戸市中央区)は、2002年の設立以降、過去の知見に基づき、自治体の災害対応力を高める研修を実施している。特長は復旧、復興の指揮を執る首長向けに、センターの研究員らが各県に出向いて行う研修で、実践さながらのカリキュラムを用意。これまでに首長や防災担当職員ら延べ1万人超が学び、災害への備えに生かされている。

19年11月、首長対象の災害対策専門研修が鳥取県倉吉市で行われた。全庁的な視野での指揮に加え、住民の被災状況やニーズの把握、地域外への協力呼び掛けなど、同センターの研究員が首長の役割について講義。その後、大規模災害が起きた想定で、1週間後までの対応を実践的に学んだ。

「この1週間で何をするのか、被災者の立場で想像して」。研究員の助言を受け、首長らは避難生活で想定される「避難所が狭い」「寒くて眠れない」といった課題や不安を付箋に書き出した。参加者で議論を重ね、優先すべきテーマを選択。「避難所」を選んだ班は「ストレスを感じない環境に改善」「過密状態の解消」といった目標を設定し、対応方針を話し合った。その後、模擬記者会見で、実際に記者との質疑応答に臨んだ。

参加した鳥取県大山町の竹口大紀町長は「これまで被災者側に立って考える研修はなく、立場を変えることも重要と気付かされた」と感想を述べた。日吉津村の中田達彦村長は「模擬会見はいい経験。限られた時間内で簡潔に伝えるのは難しい」と話した。県の防災担当者は「首長は災害時、孤独な中で重要な判断を迫られる。災害対応のスキルを上げてもらう貴重な研修」と歓迎する。

17年に研修を受け、翌年に地震被害を受けた北海道厚真町の宮坂尚市朗町長は「首長が(復旧復興への)構想を持って対応しないと応急期は乗り切れない。最先端の知識を入れるため、学ぶ機会は逃さない方がいい」と話す。

首長対象の研修は19年度までに34道府県で実施した。同センター長の河田恵昭氏は「災害発生直後は公的支援が中心。ただ、首長一人では何もできない。研修は近隣自治体同士のネットワークづくりにも効果的だ」と強調する。

同センターでは、首長の補佐役となる自治体職員の人材育成も担う。防災担当職員には能力に応じた専門研修を用意し、阪神大震災の教訓を生かした災害対応のノウハウを伝えている。

災害対策専門研修に参加する鳥取県の町村長ら=2019年11月20日、同県倉吉市災害対策専門研修に参加する鳥取県の町村長ら=2019年11月20日、同県倉吉市

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