誇示「実績」に疑問続々=台湾言及は歓迎も―安倍首相演説

政治・外交

安倍晋三首相の20日の施政方針演説のうち、財政再建や地方創生の取り組みを説明した部分で疑問点が次々と浮上している。長期政権の実績をアピールするため、都合よく事実を切り取ったとの指摘もあり、22日から始まる国会論戦で野党が追及しそうだ。

「日本経済はこの7年間で13%成長し、来年度予算の税収は過去最高となった」。首相は演説でこう指摘し、約63兆円と見込む2020年度の税収に胸を張った。しかし、首相が言及したのはあくまで政府試算の「税収見通し」。景気動向により下方修正することもあり、実績を示すデータとしては不適切とも言える。

首相は「公債発行は8年連続で減額」とも述べたが、年度途中の追加発行を含む決算ベースで見ると16年度発行額は前年度を上回った。菅義偉官房長官は21日の記者会見でこの点を問われ、「当初予算ベースで、ということだ」と釈明した。

地方創生のくだりでは、東京から地方へ移住した成功例として、島根県江津市の男性を実名で紹介した。ところが、一部報道で男性が既に県内にいない疑いが浮上。菅氏は会見で「個人情報」を理由に確認を避けつつ、「江津市に3年以上にわたって居住しており、問題ない」と強調した。

一方、台湾に触れた部分には自民党などから歓迎の声が聞かれた。首相は東日本大震災の際の海外の支援に謝意を表明する文脈で、東京五輪・パラリンピックで岩手県野田村が「台湾」の選手を迎えるホストタウンとして交流を深める予定だと紹介した。

日本と国交のない台湾を施政方針演説で取り上げるのは異例。20日の衆院本会議では、首相がこの部分を読み上げると与党席から拍手が起き、台湾の蔡英文総統はツイッターに「『台湾』という言葉が日本の国会で大きな拍手を浴びたのは実にうれしいこと」と書き込んだ。

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