経過観察「特別な事情必要」=原爆症認定訴訟で初判断―被爆者側の敗訴確定・最高裁

社会

原爆に起因する白内障などを患い、経過観察のみが続く状態の被爆者も原爆症と認定すべきかどうかが争われた3件の訴訟の上告審判決が25日、最高裁第3小法廷であった。宇賀克也裁判長は「経過観察自体が治療に不可欠で、積極的治療の一環と評価できる特別な事情が必要だ」との初判断を示した上で、原告側の請求をいずれも退けた。3件全てで被爆者側の敗訴が確定した。5人の裁判官全員一致の意見。

争点は、経過観察のための通院が、原爆症認定要件の一つである「現に医療を要する状態(要医療性)」に該当するかどうか。小法廷は「悪化または再発の蓋然(がいぜん)性や、結果の重大性、経過観察の目的や頻度などを総合考慮して個別に判断すべきだ」との基準を示した。

厚生労働省はこれまで要医療性の判断基準を明確にしておらず、判決は認定実務に影響を与える可能性がある。

小法廷は「原爆症は、被爆者に対する段階的な救済制度の中で、特に手厚い援護として位置付けられている」と指摘。経過観察が行われているだけで、直ちに要医療性が認められるわけではないとした。

その上で、白内障や慢性甲状腺炎を患った原告3人の経過観察の状況を検討。「定期的で継続的な診察で、悪化しているかどうかを確認するにとどまる。特別な事情があるとは言えない」などと述べた。

原爆症認定で敗訴し、「不当判決」と書かれた垂れ幕の前で涙ぐむ原告ら=25日午後、最高裁前原爆症認定で敗訴し、「不当判決」と書かれた垂れ幕の前で涙ぐむ原告ら=25日午後、最高裁前

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