新型肺炎、伝統文化にも影=「献杯」「オトーリ」感染懸念

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新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の伝統文化にも影を落とし始めた。同じ杯で酒を酌み交わす高知の「献杯」や沖縄の「オトーリ」文化のほか、一つの茶わんを回し飲む作法がある茶道にも感染を広げる恐れがあり、自粛の動きが広がりつつある。

高知県は2月27日、自分の杯を相手に渡して酒を注ぐ「献杯」や、お返しの「返杯」に感染リスクがあるとして、当面の間自粛するよう要請した。県健康長寿政策課は「県内では既に感染者も出ている。献杯、返杯は高知に根付いた伝統文化だが、危機感を持って行動していただきたい」と警戒を呼び掛けている。

沖縄・宮古島にも、「親」役の人が口上を述べた後、同じ杯で泡盛を回し飲みする「オトーリ」文化がある。島内の感染者は確認されておらず、自粛の呼び掛けには至っていないが、宮古島観光協会の担当者は「感染のリスクは確かにある。今は受験や卒業のお祝い時期で、親戚が集まってよくオトーリを回すが、今年はあまり行われないのでは」と残念そうに話した。

狭い茶室で客をもてなす茶道への影響も大きく、茶会の中止や延期が各地で相次ぐ。一つの茶わんでたてた濃茶を飲み回す作法は感染の懸念があるため、薄茶で代用する流派もある。表千家事務局(京都市)は「相手と同じ器で飲むことで心を通わせるのは日本独特の伝統文化。感染の心配があっては心を一つにすることが難しい」と説明。当面は少人数であっても、感染の恐れがある行事は中止する方針という。

観光名所「ひろめ市場」内に張られた献杯・返杯の自粛を呼び掛ける掲示=3日、高知市観光名所「ひろめ市場」内に張られた献杯・返杯の自粛を呼び掛ける掲示=3日、高知市

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