韓国、「放射能」懸念根強く=東京五輪絡める動き―対日関係悪化も背景・震災9年

社会

【ソウル時事】東日本大震災から9年を迎える今も、韓国では東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の汚染を懸念する声は根強い。文在寅政権は対日関係の悪化を背景に、東京五輪と「放射能」を結び付けて国際社会に危険性を提起。一部の民間団体は風評被害を招くような行動にも出ている。

「人体や海洋環境に及ぼす影響、周辺国の懸念を勘案し、この問題の処理を望む」

康京和外相は2月6日の記者会見で、福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水の処分をめぐり、日本政府にこう要求した。

韓国内でくすぶっていた放射能汚染への懸念が再燃したのは、2019年7月ごろ。日本政府が輸出管理厳格化に踏み切った時期と軌を一にしている。韓国側は東京五輪の成功を目指す安倍政権の泣きどころを突くように、処理水や福島県産食品への懸念を国際会議で提起し始めた。

韓国社会世論研究所が19年10月に発表した調査によると、日本産水産物を「危険」と認識する人は82.2%で、「安全」は12.4%にとどまった。韓国政府は同年8月、輸出管理厳格化に対抗して、日本からの輸入食品の一部について放射線検査を強化。対日関係の悪化が世論の懸念をあおる結果となっている。

こうした中、国際社会で対日批判を展開する韓国の民間団体「VANK」は1月、防護服姿の聖火ランナーで東京五輪をやゆするポスターを日本大使館の敷地の壁に掲示した。その上で、福島県産食品の使用禁止や同県付近の競技場での開催除外も要求した。

日本側は、風評被害を招くような行動に対して「あってはならないことだ。ありとあらゆる手段で強く抗議している」(菅義偉官房長官)と猛反発。韓国はリーダーの一言で世論の流れが変わる傾向が強く、文氏の指導力発揮に期待をつなぐ声もある。しかし元徴用工問題と同様、現時点で文政権が事態打開に乗り出す気配は見られない。

国際社会で対日批判を展開する韓国の民間団体「VANK」が1月、ソウルの日本大使館の敷地の壁に貼った東京五輪をやゆするポスター(VANK提供・時事)国際社会で対日批判を展開する韓国の民間団体「VANK」が1月、ソウルの日本大使館の敷地の壁に貼った東京五輪をやゆするポスター(VANK提供・時事)

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