宿泊税論議、先送り相次ぐ=新型コロナ拡大で

政治・外交 暮らし

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自治体がホテルなどの宿泊者に課税する「宿泊税」の導入論議を先送りする動きが相次いでいる。奈良市は議会への提案を延期し、宮城県は提出済みの条例案を取り下げた。宿泊キャンセルが広がる中、事業者の反対が強く、ブレーキがかかっている形だ。

奈良市は3月定例会に条例案を出す方針だったが、1月に日本人初のケースとして、奈良県在住のバス運転手の感染が判明。観光業への打撃を避けるため、同31日、延期を発表した。業界団体によると1月以降の市内の宿泊キャンセルは1億2500万円超に及び、条例案提出の見通しは立っていない。

宮城県は開会中の定例会に出した条例案を今月3日、取り下げた。県内では感染者が出た2月29日以降、観光地でのキャンセルが一気に増えた。村井嘉浩知事は「(混乱が)1、2カ月で終わるなら何とか導入をお願いしたが、かなり長期戦になるのではと覚悟した」と説明する。

沖縄県は2021年度導入に向け、昨秋素案をまとめた。しかし首里城火災などで「時期として適切なのか」との声が内部で強まり、新型コロナも追い打ちとなって、今年2月定例会への条例案提出を見送った。県は観光業界に意見を聞く方針だが、終息が見通せない限り「意見交換できる状況にない」(税務課)。

一方、福岡県と福岡、北九州両市は既に条例を制定し、昨年11月に総務相の同意を取り付けた。県内で感染者は出ているが事業者への周知も進んでいるとして、予定通り4月1日から課税する。「事業者への影響は承知しているが、金融支援なども活用しながら、準備を進めている」(福岡市担当者)

宿泊税は東京都が02年に初めて導入。大阪府や京都市、金沢市なども実施しており、税収を観光施策に充てている。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 観光 観光政策 税制 暮らし 日本 東北 宮城県 北陸 石川県 金沢市 京都府 京都市 奈良県 奈良市 九州 福岡県 福岡市