仮設入居1000人切る=なお転居未定も―東日本大震災9年

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東日本大震災で被災し、岩手、宮城、福島3県でプレハブの応急仮設住宅に入居する避難者は、今年1月末現在計709人となり、ピーク時の11万6565人の1%を切った。しかし、発生から9年を迎える今も転居先が決まらない世帯が残っており、事情に応じた細やかな支援が必要だ。

1月末現在の入居者は岩手578人、宮城18人、福島113人。宮城では全世帯で転居のめどが立ち、遅くとも4月ごろにはゼロになるといい、岩手と福島も年度末には大幅に減少する見通し。盛岡市では、建設が遅れていた最後の災害公営住宅が2020年度中に完成する見込みだ。

プレハブ仮設の供与期間は原則2年以内だが、災害公営住宅の整備の遅れなどで延長を重ねてきた。岩手県は15、16年で計約15億7000万円かけて大規模修繕を実施。福島県も断熱工事や基礎の補強などをしてきた。両県では、昨年10月の台風19号の被災者も入居している。

入居継続が見込まれる岩手県内6市町村と、福島県の大熊、双葉両町では、20年度末まで特定延長を可能とした。福島はこれ以外について年度内に供与を終了する。

転居先が決まらなかったり、入居者に接触できなかったりするケースもある。岩手では約10世帯の転居先が未定で、県は市町村などと連携して戸別訪問し、話し合いを続ける。退去せず、話し合いにも応じない1世帯については、調停を申し立てる準備を進める。

福島でも、転居先が決まらない複数の世帯が残っている。経済面や健康面で不安を抱えるほか、住み慣れた場所と別の土地で、求める条件を満たす転居先が見つからないなどが理由という。

岩手県陸前高田市の応急仮設で家族と暮らす80代の女性は、新しい自宅が元の場所で今年中に完成予定という。「周りはみんな昔から知っている人だから安心だが、環境が変わるので慣れるのが大変」と複雑な表情を見せた。

災害公営住宅に入居できても、見知らぬ住人同士であることから高齢者らの孤立が大きな問題となっている。誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」も相次いでおり、岩手県では社会福祉協議会と連携し、住人の交流イベントなど新たなコミュニティー形成に向けた取り組みを行っている。

東日本大震災の被災者が入居する仮設住宅=4日、岩手県陸前高田市東日本大震災の被災者が入居する仮設住宅=4日、岩手県陸前高田市

仮設住宅の玄関に貼られた空室を示す張り紙=4日、岩手県陸前高田市仮設住宅の玄関に貼られた空室を示す張り紙=4日、岩手県陸前高田市

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