遺構、津波の恐怖体感=全国の中高生「生きる力」学ぶ―東日本大震災9年

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東日本大震災の被災地に保存される震災遺構には、全国の中学校、高校が修学旅行、震災学習で訪れている。復興が進む被災地で、遺構は津波の恐ろしさを体感できる貴重な施設。教育旅行の関係者は「学校は、生徒が防災面の教訓だけでなく、『生きる力』を学ぶことを期待している」と指摘する。

気仙沼向洋高校(宮城県気仙沼市)の旧校舎は昨年3月、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館として生まれ変わった。3階には津波で流れて来た車がひっくり返り、自然災害の脅威を見せつける。開館から10カ月、修学旅行などで訪れた中学、高校は合わせて83校、関東や関西の高校が多かったという。館長の佐藤克美さんは「修学旅行生には、語り部ガイドが付いて説明している。初年度は想定以上の人に来てもらった」と話す。

同市観光コンベンション協会の畠山雅英さんは、ある修学旅行生が遺構の内部を見て回り、「誰かが造ったのかと思った」と友人に話す場面を目撃した。「ついにそういう世代が出てきたか」と感じたといい、「津波の映像を見たことがあっても実感が湧かなかったのだろう。震災を知らない世代は一度でいいから来てほしい」と訴える。

2017年4月に公開された仙台市の震災遺構、荒浜小学校も年を追うごとに修学旅行の予約が増え、市外の学校が相当数に上るという。みやぎ教育旅行等コーディネート支援センター(同市)の小林由季さんは「最初は『震災を学ぶ』だったが、『震災から教訓を学ぶ』へと学校のニーズが変わった。復興を力強く進める被災者の話を通じ、生きる力を身に付けさせたいという学校も増えている」と解説。「教育改革で、子どもに自発的に考えさせることが求められている。被災地には学べることがたくさんある」と話す。

標章を使った震災伝承施設の案内板=1月24日、宮城県気仙沼市標章を使った震災伝承施設の案内板=1月24日、宮城県気仙沼市

気仙沼向洋高旧校舎で津波被害を語る佐藤克美さん=1月24日、宮城県気仙沼市気仙沼向洋高旧校舎で津波被害を語る佐藤克美さん=1月24日、宮城県気仙沼市

東日本大震災津波伝承館に展示されている被災した消防車=1月15日、岩手県陸前高田市東日本大震災津波伝承館に展示されている被災した消防車=1月15日、岩手県陸前高田市

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