花手向け犠牲者悼む=「心の復興これから」―東日本大震災9年

社会 暮らし

東日本大震災から9年となった11日、津波で甚大な被害を受けた東北各地の沿岸部では、早朝から犠牲者を悼む人々の姿が見られた。

職員ら43人が犠牲となった宮城県南三陸町の防災対策庁舎前では、町内で会社を再建した佐藤秋夫さん(69)が献花台に花を手向けた。「きょうをどう生き延びるかという思いで9年間やってきた。生活や心の復興はまだまだこれからだ」と厳しい表情で話した。

庁舎一帯は、震災復興祈念公園として整備が進み、昨年に一部開園。今年秋に完成する。佐藤さんは「自分たちが住んでいた所が完全に違う景色になったのは寂しいが、震災を風化させないためには必要だと思う」と語った。

福島県いわき市の海岸では、県立高校教諭塩山匠美さん(43)が海に向かって手を合わせ、津波で亡くなった教え子に「向こうでも楽しくやっているか」と語り掛けた。元気な野球少年で、卒業文集に「10年後も生きているか?」と記していたことが忘れられない。塩山さんは「時がたち、震災のことを忘れてしまわないように、防災教育に力を入れたい」と力を込めた。

東京電力福島第1原発から北に約6キロの同県浪江町請戸地区では、いわき市の大田佳子さん(33)が父の墓前に供花。「息子が父と同じ高校に通うと伝えた。原発事故で帰りたくても帰れない人もいて、今でも複雑な気持ち」と言葉少なに話した。

岩手県大槌町の高台の墓地で、兄とその家族を亡くした古舘貞身さん(67)は「こんな大きな津波が来るとは思っていなかった。2階建てだから大丈夫だろうと。後悔している」と振り返り、「9年たって町は新しくなったけど(悲しい気持ちは)変わらない。一時的に笑うことはあっても、どうしても思い出す」と目を潤ませた。

宮城県南三陸町の防災対策庁舎前の献花台で手を合わせる男性=11日午前宮城県南三陸町の防災対策庁舎前の献花台で手を合わせる男性=11日午前

東日本大震災の津波で犠牲となった父親の墓参りをする大田佳子さん(手前)=11日午前、福島県浪江町東日本大震災の津波で犠牲となった父親の墓参りをする大田佳子さん(手前)=11日午前、福島県浪江町

福島県いわき市の四倉海岸で、海を見詰める塩山匠美さん=11日午前福島県いわき市の四倉海岸で、海を見詰める塩山匠美さん=11日午前

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 災害 暮らし 社会 日本 東北 宮城県