発送電、来月分離=電気料金引き下げ促進―大震災後の改革総仕上げ

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原発など「発電部門」を抱える電力大手から、企業や家庭に電気を届ける「送配電部門」を切り離す「発送電分離」が4月に実施される。送配電部門の中立性を高めることで、異業種から参入した「新電力」と電力大手が送配電網を公平に利用できるようにし、電気料金の引き下げを促すのが狙いだ。東日本大震災後、国が進めてきた「電力システム改革」の総仕上げとなる。

「電力大手の反発は強かった。よくここまで来たと思う」。元経済産業省幹部は発送電分離に至るまでの経緯を振り返り、しみじみと語った。従来は全国10地域ごとに、電力大手1社が発電、送配電、小売りの3部門を一貫して担う地域独占体制だった。安定的な電力供給に寄与したとみられる半面、経営の効率化を阻み、電気料金の高止まりを招いた。

2000年代初頭、海外に比べ割高な電気料金を引き下げ、企業の国際競争力を高めるため、経産省は改革派の村田成二事務次官(当時)が旗振り役となり、発送電分離を主張した。これに対し、電力業界は「電力の安定供給を損ないかねない」と激しく抵抗。政治力も使って発送電分離を阻止した。

議論が再燃したのは震災後だった。電力業界の盟主、東京電力(現東京電力ホールディングス)が福島第1原発事故を起こして実質的に国有化され、業界の発言力が低下。東電管内の顧客からも、同社以外の電気を使いたいという声が強まった。これを受け、電力システム改革が進み、16年4月に電力小売りが全面自由化された。

その後、都市ガスなどの新電力は割安な料金をアピールし、電力大手と激しい顧客争奪戦を展開。経産省によると、全国の家庭用小売市場に占める新電力のシェアは19年9月時点で17.2%。全面自由化1年後の17年4月(4.7%)から12.5ポイント上昇した。東電管内の首都圏は競争が最も進み、新電力のシェアが4分の1を占める。

発送電分離で、送配電部門は発電・小売り部門を抱える電力大手本体の子会社となる。中立性を維持するため、両社間の人事交流を制限し、取締役の兼務なども原則として禁じた。来月には、経営規模が小さく分社化の対象外となった沖縄電力、既に分社化した東電の2社を除く大手8社と電源開発が新体制に移行する。

新電力は販売促進の好機と捉えている。首都圏で電力小売り事業を手掛ける鉄道大手は「あらゆる手段で顧客数を増やしたい」(広報担当)と強調する。電気料金に値下げ圧力がかかりそうだ。

ただ、これまでの競争で、既に料金の引き下げ余地は狭まっているとの見方も強い。首都圏で東電からシェアを奪ってきた東京ガスは「低価格には限界がある」(幹部)と漏らす。同社は今後、電気とガス、防犯、家事代行などのサービスをセットにしたプランの販売を強化する方針。迎え撃つ東電側も「シェアを挽回できても収益が悪化したら本末転倒だ」と指摘しており、過度の安売り競争とは一定の距離を置く考えだ。

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