震災復興半ばで「区切り」=追悼式終了、首相任期を意識

政治・外交

政府主催の東日本大震災追悼式が来年を最後に打ち切られる。背景には、安倍晋三首相が来年9月の自民党総裁任期満了前に、一定の震災復興を果たしたと「区切り」を印象付ける狙いもあるとみられる。ただ、復興は道半ばで、被災地には風化を懸念する声が尽きない。

「実施する方向でぎりぎりまで模索を続けてきたが、誠に残念だ」。首相は6日、来年の追悼式が最後になる中で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、今年中止にしたことについて談話でこう吐露した。

政府主催追悼式は震災発生翌年の2012年から、毎年3月11日に東京都内で開催されてきた。皇族や三権の長、遺族らが出席し、犠牲者の鎮魂を祈るとともに東北の再生を誓ってきた。

こうした中、追悼式を政府主催でいつまで続けるかは政府内で悩ましい問題だった。震災発生5年を節目に、17年から当時の天皇、皇后両陛下が秋篠宮ご夫妻に出席を引き継がれるなど変化も生じていたからだ。

岩手、宮城、福島の被災3県の一部自治体からは「地元主催で式典をやりたい」との声も上がっていた。政府は18年の震災7周年追悼式後から打ち切りの検討を開始。首相周辺は「首相は後継者が打ち切りのタイミングで悩まないよう、自身の任期中に区切りを付けることにした」と明かす。

これを受け、今年1月21日の閣議で「10年を一つの節目」(菅義偉官房長官)として来年で取りやめる方針を確認した。

ただ、東京電力福島第1原発事故で唯一全町避難が続く福島県双葉町の避難指示は、一部解除にとどまる。原発事故で発生する汚染水を浄化した放射性物質を含む処理水の扱いも宙に浮いたままだ。被災自治体からは、追悼式の打ち切りに困惑の声もくすぶる。

岩手県の達増拓也知事は3日の記者会見で「何らかの形で3・11を風化させないよう、追悼の思いを国として示すやり方を地元関係者と決めてもらいたい」と求めた。

東日本大震災8周年追悼式で、式辞を述べる安倍晋三首相=2019年3月11日、東京都千代田区の国立劇場東日本大震災8周年追悼式で、式辞を述べる安倍晋三首相=2019年3月11日、東京都千代田区の国立劇場

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