企業、緊急事態影響読めず=自粛ムード加速も―新型コロナ

経済・ビジネス

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言をめぐり、企業の間で不安が広がっている。発令時の影響が見通せないためだ。食料品や医薬品の製造・販売など一部を除く幅広い業種で自粛ムードが一気に広がる恐れがあり、国内総生産(GDP)を3兆円近く押し下げるとの試算もある。

緊急事態宣言は首相が発令する。都道府県知事は外出自粛や、百貨店など多数の人が集まる施設の利用停止を要請・指示できる。強制力はないものの、「集団行動を得意とする日本の国民性を踏まえれば、多くの国民は強く自粛した行動に移ると予想される」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)という。

「絶対に止めてはいけない製造ラインは何か、従業員の扱いをどうするのか、洗い出しを進めている」。ある大手電機メーカーは緊急事態宣言への備えを急ぐ。海外事例を参考に対応策を練る企業もあるが、多くは「具体的に何が要請されるのか分からない」(大手証券)と戸惑っている。

電気やガス、水道といったライフラインや交通・物流、郵便・通信などに携わる人は外出制限が適用されず、生活インフラを維持する。スーパーや薬局、銀行なども営業を続ける見通しだ。ある大手銀行の関係者は「金融機関の使命として、要請があれば資金決済業務や企業の資金繰り支援の継続に最優先に取り組む」と強調している。

食料品などの宅配サービスの利用急増も見込まれ、通販大手は「あらゆる事態を想定し、新たな人材を確保している」と説明した。

一方、百貨店などは大きな制約が出そうだ。東京都などの外出自粛要請を受け、首都圏の百貨店や商業ビルは3月の最後の週末、全館休業や食品フロア以外の休業などに踏み切った。今月半ばごろまでの臨時休業を自主的に決めた飲食店もある。ある百貨店のテナントは「行政から指示が出たときは従う」と話しており、営業自粛が広がる可能性がある。

矢嶋氏の試算によると、東京、千葉、埼玉、神奈川、山梨の5都県に21日間の同宣言が発令された場合、外食や娯楽などへの消費減少でGDPは約2.8兆円押し下げられる可能性がある。日本商工会議所の三村明夫会頭は「政府は、宣言が市民生活にどのような影響を与えるのかあらかじめ示してほしい」と訴えている。

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