生乳、廃棄回避へ「崖っぷち」=店舗休業拡大、生産はピーク―新型コロナ

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新型コロナウイルスの感染を受けた飲食店の休業拡大により、乳製品の原料である生乳の需要が急減している。一方、乳牛は春の出産ラッシュを終え、4月下旬から6月中旬は生乳の生産量が最も多くなる時期で、生産者やメーカーは廃棄も目前という崖っぷちに追い込まれた状態。政府は「普段より1本多く購入を」(江藤拓農林水産相)と、牛乳などの消費喚起に懸命だ。

「何のために酪農をやっているのか分からない」。神奈川県茅ケ崎市で乳牛約30頭を育てる酪農家の男性(39)はため息をつく。搾乳をやめれば牛は病気になり、最悪の場合死ぬため、需要がなくても生産を続けなければならない。

緊急事態宣言の対象が全国に拡大された16日以降、状況が悪化した。小中学校の休校に伴う給食の中止に加え、コーヒーチェーンや菓子店が相次ぎ休業。ケーキやタピオカドリンクといった乳製品を多く使う商品の売れ行きが止まった。農林水産省によると、4月の業務用生乳の需要は、生クリームを中心に前年同月より5~7割も減る見込みだ。

メーカーは長期保存できるバターなどに加工してしのいできたが、「在庫が増え過ぎて立ち行かなくなる」(大手)と悲鳴を上げる。

関係者が期待するのは家庭での巣ごもり需要だ。雪印メグミルクは、グラタンやパスタなど牛乳を使ったレシピをホームページで紹介。同社は「親子で料理してほしい」(広報)と呼び掛ける。生産者団体であるホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は、市内の保育所などに牛乳を無償提供する予定という。

消費が鈍ったままでは、廃棄が避けられない。茅ケ崎市の酪農家は「処分にも費用がかかる。収入も減り、ダブルパンチだ」と不安を口にする。

牛舎で飼育される乳牛=2018年9月、北海道幕別町牛舎で飼育される乳牛=2018年9月、北海道幕別町

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