9月入学、課題山積=就職など影響多岐に―「社会の認識共有必要」

政治・外交

新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校の長期化を受け、「9月入学・始業」を求める動きが強まっている。政府は具体的な検討作業に着手したが、教育制度に加え就職や会計年度など社会生活全般への影響は多岐にわたり、課題は山積。教育現場からは戸惑いの声も漏れる。

「社会全体に影響を及ぼすもので、各方面との調整が必要だ。社会全体の問題として認識が共有できれば一つの大きな選択肢だ」。萩生田光一文部科学相は1日の閣議後記者会見で、9月入学についてこう述べ、検討を続ける考えを示した。

欧米諸国などは秋入学が主流で、過去に東京大が秋入学移行を検討したが見送った経緯などがある。今回の休校で、家庭学習を課されている児童生徒の教育格差が懸念され、9月入学論は是正策の一環として浮上。インターネット上では高校生が賛同署名を呼び掛け、2日現在で2万3000筆超を集めた。「教育格差を埋めるにはこれしかない」などのコメントが寄せられている。全国知事会も「国民的な骨太の議論」を緊急提言した。

9月入学のメリットは、留学生の往来がしやすくなることをはじめ、受験時期が夏になり積雪やインフルエンザの問題が解消されることなどが挙げられる。他方、国・自治体の会計年度や春季一括採用とのずれが生じることや、資格試験の制度設計の見直しなどの課題が出てくる。

学校教育法施行規則は、学年を4月1日に始まり翌年3月31日に終わると規定。ただ、大学は学長が始期と終期を定められる。9月入学に向けては、規則変更だけではなく義務教育の期間をはじめ同法改正なども必要になる見通しだ。

日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長は「時期がずれることで5カ月分の学費などの補償はどうなるのか。感染の影響がどこまで延びるかも分からず、オンラインを活用した学びの保障の問題などを早く解決すべきだ」と述べ、感染防止策を優先するよう求めた。

一方、教育評論家の尾木直樹法政大名誉教授は「子供にとって最善の利益は何かを押さえるべきだ。学習内容は詰め込んでも間に合わず、不登校や勉強嫌いが急増する。ゆっくりと時間を取って9月からやればいい」と話している。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 文教政策 日本