世界初、重病赤ちゃんに移植=ESから作った肝細胞―成育センター

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体のさまざまな組織になる胚性幹細胞(ES細胞)から肝臓の細胞を作り、重い肝臓病の赤ちゃんに移植したと、国立成育医療研究センターが発表した。ES細胞から作った細胞の移植は国内で初めて。赤ちゃんへの移植と肝臓病での移植は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)も含めて世界初という。

同センターによると、対象は生まれつき肝臓で有害なアンモニアを分解できない「尿素サイクル異常症」の赤ちゃん。移植した細胞が腫瘍化しないかなどの安全性と有効性を検証し、薬事承認を目指す臨床試験(治験)として実施した。

この病気では、血中アンモニア濃度の上昇を薬で抑えられないと肝移植が必要になるが、体重が約6キロに達する生後3~5カ月までは難しい。アンモニア濃度が高まって発作を繰り返すと脳に障害が残り、死亡する恐れもある。細胞移植の対象となる患者は年30~50人とみられている。

赤ちゃんは生後2日目だった昨年10月に発作を起こし、同センターに搬送された。同センターは生後6日目にES細胞から作った肝細胞1億9000万個を肝臓につながる血管から注入。5カ月後に父親が提供した肝臓の一部を移植するとともに元の肝臓を摘出し、無事退院した。

細胞移植後は薬を併用。アンモニア濃度は高くならず、脳に障害も残らなかった。細胞が肝臓に定着してアンモニアを分解し、治療効果を高めた可能性があるという。

同センターは他に4人に移植し、2022年度中にも承認申請したい考えで、他の肝臓病への対象拡大も検討する。

同センターの笠原群生・臓器移植センター長は「今後も厳重な観察が必要だが、安全に肝細胞を移植することができた」と話した。

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