香港問題、G7声明模索=米欧対立で難航も―日本政府

政治・外交

中国による香港への国家安全法導入方針を受けて、日本政府は先進7カ国(G7)による「一国二制度の維持」を訴える共同声明を模索している。ただ、トランプ米政権が主導する先鋭的な対中政策には欧州から強い反発が出ており、調整は難航している。

「香港の問題についても一国二制度を前提に、G7の中で声明を発出していく考えで、日本がリードしたい」。安倍晋三首相は10日の衆院予算委員会で、香港問題をめぐり日本がG7各国に働き掛けていることを明らかにした。

香港問題に関して、日本政府は「G7という自由や法の支配など基本的価値観を共有するグループで中国への声明を打ち出すことが重要だ」(外務省幹部)との立場だ。

政府関係者によると、G7での調整が整わないことにいら立った米国は英国、カナダ、オーストラリアと声明をまとめた。これに対し、日本は「G7の分断を対外的に見せるのは好ましくない」との判断から参加を見送った。

米欧の亀裂を深めるきっかけとなったのはテレビ会議方式で行われた3月のG7外相会合だ。ポンペオ米国務長官は新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶなど、過激な中国批判を連発。中国との経済的な関係が深い欧州諸国は困惑したという。

外務省幹部は「改めてG7外相で協議をしても、3月のようになることを欧州は危惧している」と指摘。欧州諸国はトランプ氏の劣勢も伝えられる11月の米大統領選の行方もにらみながら、対応を判断するのではないかと分析する。

香港問題は、新型コロナの影響で延期となった中国の習近平国家主席の国賓来日にも影響を与えている。日本政府は中国側に香港情勢をめぐる懸念を伝え、適切な対応を求めている。中国公船による沖縄・尖閣諸島沖への侵入も相次いでおり、与野党の保守派だけではなく、河野太郎防衛相も国賓来日に慎重論を公然と唱える。

首相も9日の衆院予算委で「少なくとも今は具体的な日程調整をする段階にはない」と答弁。外務省内からは、年内の国賓来日は難しいとの声も出ている。

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