ミサイル防衛、振り出しに=敵基地攻撃力求める声も―陸上イージス

政治・外交

陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画停止を受け、防衛省はミサイル防衛の代替案検討を急ぐ。ただ、妙案は得られそうになく、ミサイル防衛構想は振り出しに戻った形だ。北朝鮮の脅威に変化がない中、自民党からは16日、ミサイル基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を求める声が上がった。

「陸上イージスのような、イージス艦に代わるものの導入は引き続き要望したい」。山村浩海上幕僚長は16日の記者会見でこう語った。海上自衛隊トップが河野太郎防衛相の停止表明の翌日に導入の必要性を訴えたもので、安倍政権に振り回される苦悩がにじんだ。

防衛省は当面、イージス艦によるミサイル警戒を続けるとしているが、海上で24時間365日監視を続けるのは隊員の負担が大きく、気象条件で活動も制限される。防衛省はイージス艦の新造も検討するとしているが、増やせば別の護衛艦の乗組員を移す必要があり、東シナ海などでの警戒任務に支障が出る。

1隻約300人のイージス艦の乗組員には「米国留学など特殊な教育が必要」(海自幹部)とされる。育成に5年程度かかるため、即戦力の増員も期待できない。

計画停止は、ミサイルに推進力を持たせるブースターが住宅地に落下する危険性を排除できないことが要因。このため同省は秋田、山口両県以外で住民に被害が及ばない代替地を探すことも検討する。ただ同省への信頼は失墜し、「受け入れ先を探すのは困難」(陸自幹部)との見方が強い。

一方、自民党内では今回の判断について「抜本的に抑止力を見直す機会になる」との見方もある。16日の党会合では「敵基地攻撃能力を持つべきだ」との意見が防衛相経験者らから相次いだ。

菅義偉官房長官は同日の会見で、敵基地攻撃能力の保有の可能性を否定。河野氏は会見で明確な回答を避け、陸上イージスに代わる防空政策は「今後の議論」「まだ白紙」と繰り返した。

記者会見する山村浩海上幕僚長=16日午後、防衛省記者会見する山村浩海上幕僚長=16日午後、防衛省

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