新NAFTAは「史上最悪の協定」=自動車部品工業会の河島北米代表

政治・外交

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が自動車業界に与える影響について、日本自動車部品工業会北米事務所の河島哲則代表に聞いた。主な一問一答は次の通り。

―新協定をどう評価するか。

史上最悪の協定だ。通商協定は本来、関税を撤廃し、貿易を盛んにするために結ぶもの。原産地規則や賃金条項を設け、米国で車や部品を作らせるように仕向けた「悪法」でしかない。北米での生産コストが上がり、価格に跳ね返れば、割を食うのは消費者だ。

―自動車業界は新協定発効をどう受け止めているか。

業界にとってひどい協定だが、中身がなかなか決まらない不確実性の方が問題だった。今まではルールが分からないゲームをプレーさせられていた。ようやくルールが定まり、対策を練ることが可能になった。

―サプライチェーン(部品供給網)の見直しが広がる?

自動車のサプライチェーンの構築は10年単位の壮大なプロジェクトだ。一方、米大統領の任期は4年。再選されても8年にすぎない。嵐が過ぎ去るのを待とうと考える経営者は多い。わずか2.5%の関税を回避するため、生産拠点を動かす企業はほとんどないだろう。

―トランプ米大統領の思惑通りに米国での雇用は増えない?

一部に米国に工場や雇用を移す動きはある。ただ、米国で作ると必ずコスト高になる。米国で「地産地消」されているピックアップトラックを除けば、ほとんどの車は引き続きメキシコで作る方が利点が多い。

―メキシコへの影響をどう見るか。

メキシコは人件費が安い上、世界各国と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、無関税で輸出できる。南の方は国土の幅が狭く、通航料の高いパナマ運河を使わずに欧州とアジアの両方に輸出できる地の利もある。車の生産輸出基地としての優位性は揺らがない。

―USMCAを見直す動きは出てくる?

NAFTAに戻ることはないだろうが、3カ国すべてが恩恵を享受できるよう見直す動きは出てくると思う。一方、新協定には「中国封じ」の意味合いもある。中国はNAFTAの裏口を利用し、カナダやメキシコ経由で自国製品を米国に輸出していた。米中両国の覇権争いが激しくなる中、中国を締め出す動きはむしろ強まるかもしれない。(ニューヨーク時事)

日本自動車部品工業会北米事務所の河島哲則代表(本人提供)日本自動車部品工業会北米事務所の河島哲則代表(本人提供)

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