領土交渉に影響必至=首脳会談も見通し立たず―ロシア改憲

政治・外交

領土割譲の禁止を明記したロシアの憲法改正が承認された。北方領土問題でロシア側の一層の態度硬化も予想され、領土解決を含む平和条約交渉に響くのは必至だ。日ロ首脳会談も新型コロナウイルス感染症の影響で見通しが立たず、安倍晋三首相が来年9月までの自民党総裁任期中に事態を打開するのはさらに厳しくなった。

ロシア改憲を受け、菅義偉官房長官は2日の記者会見で「領土問題を解決して平和条約を締結するという基本的な考え方の下、引き続き粘り強く取り組みたい」と従来の立場を繰り返した。

新たな憲法には「隣国との国境画定を除き、領土割譲に向けた行為や呼び掛けを容認せず」との条文が盛り込まれた。この条文が領土交渉の新たな障害になる恐れがある。

日本政府は、平和条約締結後の歯舞、色丹両島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉中。首相がプーチン大統領との間でこれを確認した2018年11月の合意を根拠に、「領土交渉は既に始まっており、改憲の影響は一切ない」(外務省幹部)との立場だ。別の政府関係者も「条文はウクライナやクリミア半島を指しており、日本とは関係ない」と予防線を張る。

しかし、ロシア側は日本との交渉で、北方四島について「第2次世界大戦の結果、ロシア領になった」と認めるよう要求。新憲法には第2次大戦の旧ソ連の勝利に関し「矮小(わいしょう)化を許さない」とも記されており、ロシアの主張を補強する根拠になると受け止められている。

日本政府が交渉のてこと位置付ける首脳会談の実現も見通せない。新型コロナのあおりで、9月にロシア極東ウラジオストクで予定された「東方経済フォーラム」は中止に。米ニューヨークでの国連総会もテレビ会議形式となり、首脳外交の場としては活用できない。首相が頼みとするプーチン大統領との「個人的な信頼関係」を生かす道すら閉ざされているのが実情だ。

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