橋に大木、道は寸断=被害の爪痕、生々しく―17人犠牲の球磨村・熊本

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大雨による球磨川の氾濫で、17人が犠牲となった熊本県球磨村。民家は基礎部分を残して全壊し、橋の欄干には大木が乗り上げていた。住民は泥にのまれた自宅の片付けに手が付かず、不安な時間を過ごしていた。濁流の爪痕が残る村を7日、歩いた。

球磨川沿いにある村役場。近くにある高さ約5メートルの建物には、天井まで浸水した泥水の痕が残っていた。家具などがぐちゃぐちゃに散乱した民家が多い。川に流され、橋の欄干に乗り上げた大木。雨で増水した川は茶色に染まり、役場前を走る幹線道路は土砂崩れや崩落で寸断されていた。

「流された家が橋に引っかかり、流れをせき止めていた」。役場近くに住む無職中園幸江さんは、濁流が自宅前に迫った4日早朝の様子を興奮気味に振り返った。周辺は携帯電話が今も不通。村外の親戚や友人と連絡が取れないといい、「早く安否を伝えたい」と語った。

14人が犠牲になった特別養護老人ホーム「千寿園」は、役場の数キロ先にある球磨川の支流脇に建っていた。コンクリート造りの2階建て。敷地内には布団やバケツが散乱し、建物の中で無数の椅子がひっくり返っていた。

辺りの地面は水分を含んだ泥に覆われていた。粘り気が強く、足を取られて歩くのもままならない。周辺の民家は床上浸水の跡が生々しく、木の枝や竹などが部屋の中に流れ込んでいた。濁流に押し流され、民家に倒れかかったままの電柱。家の片付けに手を付けられず、途方に暮れている住民もいた。

近くに住む小川ムツ子さん(95)は、同園の利用者で、半世紀の付き合いだという近隣男性の安否を気に掛けていた。4日以降、連絡が取れていないという。「穏やかな人。地区の仕事も嫌がらず引き受けていた」と話し、無事を願った。

流木が流れ込んだ道路を進む人たち=7日午前、熊本県球磨村流木が流れ込んだ道路を進む人たち=7日午前、熊本県球磨村

14人の犠牲者が出た特別養護老人ホーム「千寿園」=7日午前、熊本県球磨村14人の犠牲者が出た特別養護老人ホーム「千寿園」=7日午前、熊本県球磨村

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