「ノグチ」研究所、対策拠点に=アフリカの感染症―ガーナ

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【ロンドン時事】福島県出身の細菌学者、野口英世の業績を記念し、日本の支援で西アフリカのガーナに設立された「野口記念医学研究所」(野口研)が、新型コロナウイルスへの対応で注目を浴びている。ガーナはアフリカで感染が最も深刻な国の一つだが、野口研は24時間体制で、全国で行われているPCR検査の8割以上をカバー。医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な他国の検査も担うなど、西アフリカ一帯の感染症対策の拠点となりつつある。

ガーナは3月中旬に初の感染者を確認し、同月末から約3週間ロックダウン(都市封鎖)が敷かれた。累計感染者数は約2万5000人、死者約140人と、アフリカでは南アフリカなどと共に「主要感染国」となっている。最近は都市部から地方への感染拡大が続くなど、事態悪化に危機感が強まっている。

こうした中、日本の無償資金協力を受けて1979年、生物医学研究所としてガーナ大内に設立された野口研が、培った技術や人材を生かして新型コロナ対応に奮闘している。野口研は保有するPCR検査機4台をフル活用し、職員120人が昼夜交代勤務で検査を実施。今月初めまでに累計25万件以上の検査をこなしたほか、世界保健機関(WHO)の依頼でギニア湾の島国サントメ・プリンシペからも800検体を受け入れた。ガーナのアクフォアド大統領自ら施設の視察に訪れるなど、感染症対策の拠点として「ノグチ」に向けるガーナ国民の期待は熱い。

しかし、全国から連日大量の検体が送られてくるため検査機4台では処理しきれず、検査速度をいかに上げるかが課題となっている。試薬や資材不足も懸念材料だ。国際協力機構(JICA)の支援で、一部手作業の検査工程を自動化する機械を調達するなど、効率化に向けて試行錯誤が続く。

ガーナはアフリカでは比較的政情が安定しているが、医療体制は依然不十分で、JICAガーナ事務所の小澤真紀次長は「(設備や人材を備えた)野口研がなかったらここまで積極的にコロナ検査に対応できなかったのではないか」と話す。将来外国でワクチンが開発された際にも、国内の薬事許可手続きで野口研が主要な役割を担うことが見込まれるなど、コロナ禍を経て「ノグチ」の存在はますます大きくなってきている。

ガーナの首都アクラにある野口記念医学研究所(国際協力機構=JICA=提供・時事)ガーナの首都アクラにある野口記念医学研究所(国際協力機構=JICA=提供・時事)

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