揺らぐ「岸田氏禅譲」路線=麻生氏らが疑問符―菅氏でつなぐ案浮上

政治・外交

安倍晋三首相の盟友である麻生太郎副総理兼財務相ら首相に近い有力者から、自民党の岸田文雄政調会長を「ポスト安倍」候補として推すことに疑問の声が漏れ始めている。課題の発信力が向上せず、党内での指導力も見えにくいためだ。首相が避けたい石破茂元幹事長の党総裁選出阻止のため、菅義偉官房長官を担ぐ案も浮上しており、首相が描く岸田氏への禅譲路線が揺らいでいる。

「平時の岸田だ。乱世の岸田じゃない」。麻生氏は最近、同僚議員にこう語った。麻生氏はこれまで首相が目指す岸田氏への禅譲路線に異を唱えていなかったが、立場に変化が表れた。

岸田氏の肝煎りとされた新型コロナウイルス対策の「減収世帯への30万円給付」は、公明党が求める一律10万円給付に覆され力量不足が露呈。各種世論調査の「次の首相にふさわしい人」では石破氏に大きく水をあけられ、差が縮まる気配もない。首相周辺は「あれでは石破氏に負けてしまう」と危機感を隠さない。

首相の信頼が厚い閣僚の一人は、首相の後継として政権を任せる場合、岸田氏ではなく「菅氏がつなぐのが一番いい」と指摘する。菅氏は党内に一定の支持派を抱え、党側を押さえる二階俊博幹事長との関係も良好だ。

岸田氏に対する不安の声は首相の耳に直接入っている。ただ、2018年総裁選で自らの支持固めのため岸田氏を不出馬に追い込み、「禅譲」をちらつかせてきた首相としては、ここではしごを外しにくい。最近も「岸田氏の面倒を見てほしい」と周辺に伝え、岸田氏を擁護してみせた。

「ポスト安倍」選びが「選挙の顔」を決める印象を強めれば、知名度の高い石破氏に支持が雪崩を打つ展開は否定できない。「もう少し発信したらいいのに」。首相は岸田派幹部にこう不満を漏らした。今後の評価次第で首相の岸田氏に対する姿勢に変化が生じる可能性もある。

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