サイバー・電子戦教育を強化=防衛省、人材確保なお課題

政治・外交

防衛省・自衛隊はサイバー・電子戦の新領域で、隊員らに対する教育を強化している。陸上自衛隊通信学校(神奈川県横須賀市)は月内に、電子戦の専門教育課程を新設。陸自高等工科学校(同市)も来年度からシステム・サイバー専修コースを開設する。ただ各国との差は依然大きく、人材確保は難航している。

「中国やロシアは軍のサイバー攻撃能力、電子戦の実践能力を強化している」。河野太郎防衛相は23日、陸自久里浜駐屯地(同市)で隊員に訓示した。これに先立ち、敵の通信を妨害する車載型電子戦システム「NEWS」や、昨年5月に開設した陸海空自衛隊統一のサイバー教育課程を視察した。

サイバー・電子戦の分野で世界を震撼(しんかん)させたのが、2014年のロシアによるウクライナ侵攻だ。ロシア軍はウクライナ軍の通信網を遮断して指揮系統を乗っ取り、最小限の火力で制圧。ロシア側はウクライナの3分の1の兵力で圧勝したとされる。

新たな戦闘に対処するため、自衛隊は今年度、陸自健軍駐屯地(熊本市)に80人規模の電子戦部隊を新編。サイバー防衛隊も70人増の290人に拡充し、23年度末までに関連部隊の定員を一千数百人規模にする計画だ。国内外の大学への留学や、サイバーセキュリティー企業への研修による人材育成にも取り組んでいる。

ただ、中国は3万人、北朝鮮も6800人のサイバー部隊を既に運用しているとされ、出遅れは否めない。即戦力として「ホワイトハッカー」と呼ばれる民間の高度人材を採用する制度もあるが、機密情報の管理や、公務員の硬直的な働き方が敬遠されるなどして実現しておらず、人材確保の課題はなお残る。

陸海空自衛隊統一のサイバー教育課程を視察する河野太郎防衛相(左から2人目)=23日午前、神奈川県横須賀市の陸上自衛隊通信学校(一部画像を処理しています)(防衛省提供)陸海空自衛隊統一のサイバー教育課程を視察する河野太郎防衛相(左から2人目)=23日午前、神奈川県横須賀市の陸上自衛隊通信学校(一部画像を処理しています)(防衛省提供)

敵の通信妨害能力を向上させた新たな車載型電子戦システム「NEWS」(陸上自衛隊提供)敵の通信妨害能力を向上させた新たな車載型電子戦システム「NEWS」(陸上自衛隊提供)

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