日航機遺族、絵本を英訳出版=「当たり前の日常大切に」―事故から35年

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1985年の日航機墜落事故で夫を亡くした谷口真知子さん(72)=大阪府箕面市=が7月、家族を描いた絵本「パパの柿の木」の英訳版「MY PAPA’S Persimmon Tree」を出版した。「当たり前の日常を大切に生きてほしい」。絵本を通じて世界の子供にもメッセージが届くことを願っている。

夫の正勝さん=当時(40)=は東京で上司の葬儀に参列した帰りに事故に遭った。「まち子 子供よろしく」。ズボンのポケットから短い走り書きが見つかった。主婦だった谷口さんはアパート経営を始め、当時13歳と9歳の息子2人を育て上げた。

2016年に友人のイラストレーター亭島和洋さん(44)と絵本を出版。御巣鷹の尾根に一緒に登った孫娘が「パパのパパに会いたかった」と話したのがきっかけだった。正勝さんが植えた庭の柿の木が、事故の年の秋に初めて実を付け、励まされ立ち直っていった家族の姿を題材にした。

地元の小学校などで読み聞かせをしていたところ、関西学院千里国際高等部(箕面市)から英訳の申し出があり、生徒8人が19年4月から授業で英訳を始めた。谷口さんの話を聞いた上で、半年間かけて言葉を一つずつ選んだ。

英訳に取り組んだ卒業生の草薙柚季さん(19)は「何度も議論して表現を考えた。絵本が身近な人を大切にするきっかけになったらうれしい」と話す。

谷口さんは事故機を製造した米ボーイング社にも手紙を添えて絵本を送るという。子供たちの生活は新型コロナウイルスの影響で一変したが、「冬は枯れたように見える柿の木が、春には力強く芽を出すように、前を向いていれば必ず希望はやってきます」と力を込めた。

販売はオンラインショップ「BASE」(https://papakaki.thebase.in/)で。

日航機墜落事故で亡くなった夫の正勝さんが植えた柿の木の前で、自著「パパの柿の木」の英訳版を手にする谷口真知子さん=7月15日、大阪府箕面市日航機墜落事故で亡くなった夫の正勝さんが植えた柿の木の前で、自著「パパの柿の木」の英訳版を手にする谷口真知子さん=7月15日、大阪府箕面市

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