コロナ禍、語り部活動にも暗雲=知られざる終戦2日前の惨事―紙芝居開催困難・千葉

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終戦2日前、米軍機が成東駅(千葉県山武市)に停車中の列車を攻撃し、駅員や兵士ら42人が亡くなった。長年知られていなかった惨事を伝えようと、地元の団体は紙芝居による語り部活動を続けてきたが、新型コロナウイルス対策の影響で開催が難しくなっている。

1945年8月13日正午ごろ、米軍機の機銃掃射を受け、現JR成東駅ホームに停車していた貨物列車に積まれていた弾薬が爆発。駅員15人と兵士27人が犠牲になった。ただ、被害に関する写真や資料はほとんど残っていない。山武市歴史民俗資料館の稲見英輔館長(54)は「軍事機密という理由で正確な情報が行き渡らなかったのでないか」と話す。

駅員だった兄=当時(14)=を亡くした土屋麗子さん(89)は、兄が防空壕(ごう)で命を落としたと長年聞かされていたが、戦後50年ほどたって新聞で兄が攻撃に巻き込まれたことを知った。「あと2日早く戦争が終わっていれば」と声を震わせる。

埋もれた惨事を子供たちに知ってもらおうと、市や近隣の元女性教職員でつくる団体は2015年から、当事者などの証言を基にした紙芝居を地元の小中学校などで実施。これまでに13校で上演された。

しかし、3月から新型コロナウイルス対策で全国の学校で休校措置が取られたことを受け、年10回ほど行われていた紙芝居も相次いで中止に。団体メンバーの並木久栄さん(73)=同市成東=は「子供たちに昔の人の話を伝える場がなくなってしまうのは残念だ」と話す。メンバーが高齢のためインターネット上での開催も困難といい、早期再開を待ち望んでいる。

成東駅に停車中の列車が米軍機攻撃を受ける様子を描写した紙芝居(退職女性教職員の会山武支部提供)成東駅に停車中の列車が米軍機攻撃を受ける様子を描写した紙芝居(退職女性教職員の会山武支部提供)

市立成東小学校で行われた紙芝居の上演会=2018年11月、千葉県山武市(並木久栄さん提供)市立成東小学校で行われた紙芝居の上演会=2018年11月、千葉県山武市(並木久栄さん提供)

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