「二度と繰り返さない」=安全の誓い、若い世代も―日航ジャンボ機墜落事故35年

社会

520人が犠牲になった日本航空ジャンボ機墜落事故は12日、発生35年を迎えた。日航では事故当時も現役だった社員は全体の4%を切る一方、事故後に生まれた社員は3分の1を超え、世代交代が進む。同社の研修施設「安全啓発センター」では、事故の悲惨さを伝えるガイドを若手社員も担う。「二度と繰り返してはいけない」。事故を知らない世代へと安全の誓いは引き継がれている。

残存機体や遺品が展示されているセンターは、社員らに安全意識を伝える場として使われている。ガイドを務める伊藤由美子さん(61)は事故当日、羽田空港のカウンターで搭乗手続きに当たっていた。「6時の便はいかがですか」。前の便に乗り遅れたり、空港に早く着きすぎたりした乗客を空席ができた事故機に案内した。「早く帰れる」と喜んだ乗客の姿が今でも思い出されるという。

伊藤さんはこの3年前、羽田沖で日航機が墜落し24人が死亡した事故の際も空港で勤務していた。利用客が次々と離れていく中でも、日航機に乗り続けてくれた人々のありがたさを感じ始めた矢先の事故だった。後輩に自らの経験を交え、「信頼して乗ってくれることがどれほど大切なことか」と安全の尊さを伝えている。

入社2年目でガイドを務める篠原怜さん(27)は、伊藤さんにセンターを案内された若手社員の一人だ。新入社員が研修で墜落現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)を登る際の引率役も兼ね、これまで30回以上尾根を訪れた。

犠牲者の名前が書かれた墓標を目の当たりにして事故の悲惨さを肌で感じ、30年以上たっても登り続ける遺族と言葉を交わした。「事故は終わっていない。安全を全力で守っていこうというメッセージを伝える上で貴重な経験になっている」と話す。

「心に響くまで伝えられているだろうか」と自問することもある。それでも、尾根での体験や、遺族や当時を知る伊藤さんら先輩の話に耳を傾ける中で「若手ではあるものの、言葉に重みを持たせることはできる」。そう信じて、自らの言葉で事故を語り継いでいる。

日本航空の研修施設「安全啓発センター」でガイドを務める伊藤由美子さん(左)と篠原怜さん=7月31日、東京都大田区日本航空の研修施設「安全啓発センター」でガイドを務める伊藤由美子さん(左)と篠原怜さん=7月31日、東京都大田区

日本航空の研修施設「安全啓発センター」で、事故概要を説明する篠原怜さん=7月31日、東京都大田区日本航空の研修施設「安全啓発センター」で、事故概要を説明する篠原怜さん=7月31日、東京都大田区

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