よみがえる、隕石の刀=古代エジプトの短剣と同材料

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岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(岐阜県各務原市)で、「隕鉄」と呼ばれる金属を主成分とする隕石(いんせき)で作られた刀剣が7月から展示されている。古代エジプトのツタンカーメン王の墓から発見された短剣も隕鉄で作られており、専門家は「当時どう作ったのか分析する上で参考になる」と話している。

展示されているのは、長さが15センチの片刃の短刀と、17.3センチのもろ刃の剣。名刀の産地として知られる同県関市の刀鍛冶、26代藤原兼房さん(42)らが製作し、「天鉄刀」と名付けられた。表面に木目のような溝があり、日本刀に一般的な波模様の刃文がないのが特徴という。

隕鉄は硫化物などの不純物が混じっており、高温で溶かすと硫黄の臭いがする。日本刀と異なり、純度の高い鋼が使われていないため硬度も低い。藤原さんは「隕鉄100%で刀を作るのは初めて。温度を上げるとどうなるか分からなかった」と話す。

隕鉄製の刀は、農商務相などを歴任した榎本武揚が1895年ごろに作らせた「流星刀」が日本初とされ、富山市科学博物館に保管されている。

千葉工業大の松井孝典学長(惑星科学)によると、人類が最初に出会った鉄は隕鉄だったと言われている。鉄の製錬技術を獲得したとされる3300年前ごろまでは、鉄器の原料として使われていたと考えられている。

ツタンカーメン王の短剣など現存しているものもあり、松井学長は天鉄刀の製造について、「かつて隕鉄でどのように短剣を作っていたかという分析の参考になる」と話した。

金属を主成分とする隕石(いんせき)で作られた日本刀「天鉄刀」=19日午前、岐阜県各務原市金属を主成分とする隕石(いんせき)で作られた日本刀「天鉄刀」=19日午前、岐阜県各務原市

作業する刀鍛冶の26代藤原兼房さん=19日午前、岐阜県関市作業する刀鍛冶の26代藤原兼房さん=19日午前、岐阜県関市

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