景気対策に遅れも=政策運営で影響必至―安倍首相辞意表明

政治・外交

安倍晋三首相の辞意表明で、新型コロナウイルス感染拡大を受けた一連の経済対策の実行に遅れが生じる恐れがある。安倍政権下で一枚岩を誇ってきた日銀との関係や、経済政策運営の主導権争いにも影響を及ぼしそうだ。

安倍政権は今年度に2度にわたる補正予算を編成し、事業規模233.9兆円という空前の景気対策を策定。1人10万円の特別定額給付金、企業向けの持続化給付金や家賃支援給付金などで個人や企業を支援してきた。それでも4~6月期の実質GDP(国内総生産)は年率27.8%ものマイナス成長に陥った。

ある経済官庁の中堅幹部は「困っている人々への支援を遅らせるわけにはいかない」と話す。だが、首相が辞任する影響は軽視できない。

雇用を維持した企業への支援を充実させた雇用調整助成金の特例措置は9月末までだった。加藤勝信厚生労働相は28日に12月末までの延長方針を表明したが、休業者増に備えた財源確保には政治的な指導力が不可欠。政治空白は、現在200万人を超す休業者が失業する事態を招きかねない。

また安倍首相が任命した黒田東彦日銀総裁は、大規模な金融緩和で看板政策「アベノミクス」を支え、3月以降は金融機関に金利ゼロで資金を供給し企業の資金繰りを助けてきた。金融緩和路線が当面続く見通しだが、日銀との関係については「(政府が任命する)人事などを通じて影響が出る可能性もある」と指摘する市場関係者もいる。

一方、経済成長を重視する安倍首相は今井尚哉首相補佐官を筆頭に経済産業省出身の官僚を重用。歴代政権と緊密な関係を築いて財政健全化を訴えてきた財務省を遠ざけてきた。その反動もあり、「次期首相次第では財務省が『復権』するかもしれない」との見方が霞が関で浮上している。

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