地方移住、相談が活況=テレワーク後押し、誘致に熱―受け入れに不安も・新型コロナ

社会

新型コロナウイルスの感染拡大で、都市部から地方への移住に関心が高まっている。3密回避への意識の高まりやテレワークの普及が追い風。各自治体もオンラインでの相談会やセミナーを開催し、誘致に力を入れる。一方、都市部からの下見などを懸念する地元住民もいるなどジレンマも抱える。

東京・有楽町で8月22日に開催された山梨、静岡両県合同の移住セミナーは、オンラインを含めて約50人が参加し、熱気にあふれていた。

都内から両県にそれぞれ家族で移り住んだ30代の会社員2人がテレワークでの働き方を紹介し、「子どもと一緒の時間が増えた」などと魅力をアピール。参加者からは「コロナ禍で地方に住んでいて良かったと思うことは?」「子育ての悩みはあるか」などと矢継ぎ早に質問が飛んだ。

PR会社社長の平野マユミさん(49)は定年後、自宅のある東京から地方へ転居を計画しており、情報収集のためセミナーに参加した。「コロナを機にテレワークを導入し、東京にいなくても仕事ができるようになった。『定年後』という前提が取り払われた」と話した。

全国の自治体と連携し、移住などを支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京都千代田区)に寄せられた6、7月の個別相談件数は前年同期より900件近く増えた。高橋公理事長(72)は「コロナをきっかけに移住が現実的となり、従来以上に本気度の高い相談が増えている」と分析する。

ただ、感染の再拡大を懸念し、都市部からの転入受け入れや候補地の下見などに慎重な姿勢を示す自治体もある。

長野県箕輪町は8月、移住希望者が無料で宿泊できる体験住宅の利用を当面の間、中止した。夏は希望者が多く、例年ほぼ満室となるほどの人気だが、担当者は「感染者が増加傾向にある地域の車のナンバーを見て住民が不安を感じたり、逆に利用者が嫌な思いをしたりすることがないよう、予約を断っている」と話している。

オンラインを活用した移住相談などに関するパンフレット=8月18日、東京都千代田区のふるさと回帰支援センターオンラインを活用した移住相談などに関するパンフレット=8月18日、東京都千代田区のふるさと回帰支援センター

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