日本、豚熱「非清浄国」に=発生2年、豚肉輸出に支障

政治・外交 経済・ビジネス

日本は3日、家畜伝染病「豚熱(CSF)」について、感染が確認されていない国を指す「清浄国」の国際認定を2007年以来13年ぶりに失った。18年に岐阜市で発生後、2年間の猶予期間中、豚熱を封じ込められず、ワクチンを使用したため「非清浄国」に転落。日本産豚肉が敬遠され、新たな輸出先開拓を目指す国内農家には痛手となる。

岐阜市の養豚場では18年9月3日から豚の死が相次ぎ、国内で26年ぶりとなる豚熱と確認された。農林水産省は当初、殺処分による撲滅を目指したが、野生イノシシが媒介役となり、中部・関東地方を中心に感染は拡大。農水省は1年が過ぎた昨年9月にワクチン接種にかじを切った。

清浄性は国際獣疫事務局(OIE)が認定する。感染した豚との区別が付かなくなるとして、ワクチンを打ち続けている限り、清浄国と認められない。

日本産豚肉の輸出は近年、年間約2000トンで推移。出荷実績がある香港やシンガポールは、ワクチンを接種していない地域の豚に限定して受け入れを継続すると表明。しかし、米国や欧州連合(EU)をはじめ実績のない清浄国・地域への新規輸出はほぼ不可能になる。台湾など非清浄国からは対日輸出解禁の圧力が強まる恐れもある。

ワクチン投与や衛生管理の徹底により、養豚場では今年3月の沖縄県を最後に発生していないが、これまで確認されたのは、岐阜に加え愛知、埼玉、長野など10府県。殺処分された豚は約16万6000頭に上る。

一方、感染したイノシシはいまだに見つかっており、範囲も17都府県と広い。豚へのワクチン接種推奨地域は8月に福島が加わり、25都府県となった。農水省は「感染イノシシがいる限り、豚への感染リスクは消えない」(幹部)として、捕獲強化やイノシシ向け餌型ワクチンの散布を続けている。

国内では1920年代以降、92年に熊本県で最終的に発生するまで豚熱がまん延。イノシシ感染は当時確認されていなかったが、脱ワクチンに転換した96年から前回07年の清浄化まで11年を要した。江藤拓農水相は「清浄国を目指すという高い意識は持ち続ける」と強調するが、道のりは遠い。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 農林水産政策 通商・貿易・対外投資 EU 日本 台湾 米国