コロナ、金箔も打撃=観光客減と価格高騰―地元回帰に活路・金沢

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金沢市を代表する工芸品の金箔(きんぱく)業界が苦境にあえいでいる。新型コロナウイルス感染拡大による観光客の減少で売り上げが落ちたことに加え、原料となる金の価格も高騰しているためだ。新たな需要を掘り起こすため、地元回帰を模索する動きも出始めている。

金箔は金を圧延して作り、最も一般的なもので薄さ約0.0001ミリメートル。仏壇や漆器、家具などの装飾、文化財の修復などに使われ、土産物として外国人観光客らにも人気だ。金沢は湿度や水質が製造に適しており、石川県箔商工業協同組合によると、2019年度は約11センチメートル四方換算で1655万枚を生産。国内生産のほぼ全てを占める。

しかし、コロナ対策の移動自粛や渡航制限で観光客は激減。老舗メーカー「箔座」の高岡美奈社長(48)は「店舗での販売は昨年比で1割に届かない月が続いている」とため息をつく。店内には壁や天井一面を金箔で彩った「黄金の茶室」があり、訪れる人たちを驚かせていたが、客足は途絶えたままだ。

金価格の上昇も悩みの種だ。世界的な感染拡大による経済の先行き不安から、安全資産とされる金が買われ、国内の地金商最大手、田中貴金属工業の税込み小売価格は、4月13日に40年ぶりとなる高値を更新。その後も上がり続け、8月はコロナ流行前の約1.3倍の1グラム7000円台で推移している。卸売業者の買い控えで金箔職人まで材料が回らなくなり、「仕事自体が減っている」(別の金箔業者)という。

こうした中、高岡社長は観光客中心の販売方法を見直し、地元での知名度向上に活路を見いだそうとしている。手始めに母校の市立森山町小学校に、金箔で覆ったケーキを贈呈。児童から「コロナで大変だったけど、すごく元気が出た」との礼状が届いたという。

「地元の方々が良いと思ってくれないと長く愛され続けることはできない。気軽に金箔を知ったり触れたりできる金沢のコミュニティーになっていきたい」。高岡社長は力を込めた。

壁や天井に約4万枚の金箔(きんぱく)が使われた「黄金の茶室」=8月24日、金沢市壁や天井に約4万枚の金箔(きんぱく)が使われた「黄金の茶室」=8月24日、金沢市

機械で金箔(きんぱく)を作る職人=8月24日、金沢市機械で金箔(きんぱく)を作る職人=8月24日、金沢市

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