倒木防げ、予防伐採=大規模停電教訓に―房総半島台風1年・千葉

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千葉県内で最大約64万軒が停電した昨年の房総半島台風の上陸から、9日で1年。暴風による大量の倒木が停電の大きな原因となり、危険な木を事前に切っておく「予防伐採」が対策として注目された。県と電力会社の連携による伐採が期待されるが、費用面などから具体化していない。そうした中、独自の予防伐採を始めている自治体もある。

倒木は道路をふさぎ、停電の復旧も妨げる。房総半島台風では、全域でおおむね停電が解消するまで16日間を要した。その間、冷房が使えず、熱中症の救急搬送も相次いだ。死者8人はいずれも関連死で、6人は停電の影響による熱中症などだった。

千葉県と東京電力パワーグリッドは今年7月下旬、倒木による停電や道路寸断を防ぐため、計画的な伐採に向け協定を締結した。ただ、詳細は協議中で、開始時期は見通せない。県の担当者は「費用負担での折り合いがつかない。電線と道路の危険箇所が一致すれば連携にメリットがあるが、仕組みをつくるのが難しい」と話す。

そもそも樹木の管理を求められるのは所有者で、承諾が伐採の前提条件となる。県の担当者は「勝手に手は出せないし、行政が関わって不公平感が出てもいけない」と頭を悩ます。

同県いすみ市でも房総半島台風で多数の木が倒れ、約5600軒が停電した。担当者は「残暑が厳しい中で何日も電気が使えず、保健師が高齢者宅を回って安否を確認した」と振り返る。

こうした教訓を踏まえ、市は独自に倒木被害の予防を模索。電力会社による電線に掛かった枝などの保安伐採だけでは不安が残り、伐採を支援する県の森林整備事業では「今年の台風の時期に間に合わない」と判断。病院や福祉施設などへの電線を守るため、全額を市が負担し、7月中旬から危険な木を除去している。

交渉した所有者は「管理できずに放置せざるを得なかった」と話し、伐採の申し出を喜んで受け入れた人が多かったという。ただ、市の担当者は「今回伐採できたのは一部にすぎない。長期的な取り組みが必要だが、単独では費用的な限界がある」と課題を指摘する。それでも、「今年の台風に備え、できることを尽くす」と話した。

6~7日に九州西岸沖を北上した台風10号でも、九州を中心に大規模な停電が発生している。

台風による停電を防ぐために行われた電線近くの樹木の伐採作業=8月5日、千葉県いすみ市(同市提供)台風による停電を防ぐために行われた電線近くの樹木の伐採作業=8月5日、千葉県いすみ市(同市提供)

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