「負の遺産」どう向き合う=1強政治の是非焦点―自民総裁選

政治・外交

自民党総裁選では、森友・加計学園や首相主催「桜を見る会」をめぐる問題など、安倍政権の「負の遺産」にどう向き合うかも焦点だ。安倍晋三首相の「1強」体制が、政権の緩みや官僚の忖度(そんたく)を招き、国民の政治不信につながった。一連の問題について、菅義偉官房長官は解決済みとの立場を強調するが、石破茂元幹事長は争点化を目指す。岸田文雄政調会長は深入りしない構えだ。

「文書改ざんは二度と起こしてはならない。謙虚に耳を傾け、しっかり取り組む」。菅氏は8日の共同記者会見で、森友問題に絡む公文書改ざんに触れ、再発防止に努める考えを強調した。

ただ、菅氏に一連の問題を検証する意欲は見られない。2日の出馬会見では、森友・加計問題について「既に結論が出ている」と断言。桜問題についても「これからの在り方を全面的に見直す」と述べるにとどめた。

これに対し、石破氏は「どの世論調査を見ても納得したという人が非常に少ない」と述べ、再調査の必要性に言及。「納得と共感を持ってもらうやり方を競うのがこの総裁選だ」と訴え、争点に据える姿勢を明確にした。

石破氏の陣営幹部は「菅氏が安倍政権の負の部分の実務をほぼ全て取り仕切っていた」と指摘。首相との「一蓮托生(いちれんたくしょう)ぶり」を印象付け、総裁選で優位に立つ菅氏の足元を揺さぶる狙いだ。

岸田氏は踏み込んだ発言を避けている。安倍政権で要職を歴任する立場上、一連の問題を批判しにくいためだ。8日の共同会見では「権力は鋭いやいばのようなもの。絶えず謙虚、丁寧に使っていかなければならない」と一般論に終始した。

共同会見では、首相の説明責任の在り方をめぐっても、3候補の温度差が浮き彫りになった。

菅氏は「世界と比べて圧倒的に日本の首相は国会に出席する時間が多い」と指摘。その上で「大事なところで限定して行われるべきだ」と持論を展開した。首相会見についても「内閣の方針は官房長官が責任を持って説明する」と消極的だ。

石破氏は対照的な姿勢を示す。「(会見で)メディアは国民を代表して聞いている。可能な限り答えなければいけない」と強調。国会についても「誠実に答えるのがわれわれの責任だ」と語った。

一方、岸田氏は「記者会見では多くの質問に答える姿勢を示すことが現実的な対応だ」と述べた。国会への出席をめぐっては「首相の拘束時間は先進国の中で桁外れだ」とした上で、バランスを意識して対応する考えを示した。

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