「菅政権」の人事に関心=党内、強まる派閥圧力―自民総裁選

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自民党総裁選で、菅義偉官房長官の優位が鮮明になる中、党内は早くも「菅政権」の誕生を前提に動きだしている。菅氏は党役員・閣僚人事で「脱派閥」を掲げるが、支援する5派閥は圧力を強めている。

「選挙が始まって限られた日数での支援に感謝する」。菅氏は9日、衆院議員会館で二階派議員約15人の激励を受け、こう応じた。最後は「勝つぞ」コールで見送られた。

同派会長の二階俊博幹事長は、菅氏をいち早く支持。その「見返り」として、同派では二階氏続投への期待が高まる。河村建夫会長代行は6日、一連の経緯に触れ、記者団に「(菅氏が)総裁になったら、そのことは頭に置いて人事をやると思う」とあけすけに語った。

他派閥も事情は同じだ。党内最大の細田派は「官房長官ポストを取りたい」(ベテラン)と宣言。麻生派も「取りに行くものは取りに行く」(関係者)と鼻息が荒い。閣僚経験者の一人は「入閣待機組の面倒を見ないとすぐにつまずく」と指摘。人事をめぐる要求が今後、一段と強まるのは確実だ。

これに対し、菅氏は8日の共同記者会見で、新首相に就任した場合の人事について、改革意欲と専門知識を優先する「適材適所」を強調。派閥推薦にとらわれない姿勢をにじませた。

ただ、無派閥の菅氏にとって、足元の党内基盤は脆弱(ぜいじゃく)だ。派閥の意向を無視して支持を失えば、新首相に選出されても、たちまち行き詰まりかねない。こうした事情を踏まえ、菅氏陣営からは「今回は派閥からちゃんと人を出す形にしないと駄目だ」(幹部)との声が漏れる。

一方、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の陣営は懸命に巻き返しを図るが、劣勢の見通しが広がる中、今後の処遇に無関心ではいられない。

岸田氏陣営は、岸田氏が安倍晋三首相を支えてきた経緯を踏まえ、「菅氏もそこまでひどい扱いはしないだろう」(中堅)と期待する。石破氏陣営は安倍政権と距離を置いてきただけに、総裁選後も「冷遇」が続くとみている。幹部の一人は「人事には誰も期待していない」と吐き捨てるように語った。

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