「官邸主導」功罪相半ば=族議員消滅、「忖度」横行―7年8カ月、安倍首相退陣

政治・外交

7年8カ月にわたり政権を担った安倍晋三首相が間もなく退陣する。官邸主導で与党の力が弱まり、族議員が闊歩(かっぽ)する状況が消滅した一方、官僚による「忖度(そんたく)」など長期化の弊害も目立った。専門家は「功罪相半ばだ」と指摘する。

現代日本政治に詳しい日本大の岩井奉信教授(政治学)は安倍政権について、「政治改革の一つの帰結で、(中央省庁の幹部人事を一元的に扱う)内閣人事局を創設し、官邸主導をシステム化した」と指摘。「従来は首相の権限が弱く、与党の意見を聞かないと何もできなかったが、トップダウンで物事を決められるようになった」と評価する。

一方、「安倍1強」が長く続いたことで、官僚が官邸の意向を忖度するようになり、森友学園をめぐる問題では公文書の改ざんも起きた。岩井教授は「官僚が官邸の『手先』になっていた。政権交代がない中、どうやって緊張感をつくるか。中立性を担保する仕組みが必要だ」と話す。

「一番良かったのは長く続いたこと」と話すのは、社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーのメンバーで安倍首相の物まねをする福本ヒデさん(49)。「以前は学級委員と同じシステムかと小学生が勘違いするぐらい、首相が1年で交代していた」と持ち上げる。他方、「進まないことが見えている北方領土返還や拉致問題解決、憲法改正を掲げた裏で、本丸の安全保障関連法など反対が多い法案を軒並み成立させた」と皮肉った。

首相の物まねは第1次政権の直前から続けているといい、「不祥事やスキャンダルが起きてもびくともしない。まさかこんなに長い間やるとは思わなかった。政権を投げ出したと日本中から笑われても、腐らずに5年で立ち上がれる人間力はすごい」と振り返った。

参院予算委員会の席上、やじに苦言を呈する安倍晋三首相=2014年2月5日、国会内参院予算委員会の席上、やじに苦言を呈する安倍晋三首相=2014年2月5日、国会内

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