税関、AIで検査効率化=薬物・密輸、人手不足とコロナ禍で

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不正薬物や金の密輸、コピー商品の取り締まりを効率化するため、税関が検査場での撮影画像など膨大なデータを人工知能(AI)で解析し、業務を効率化する取り組みを強化している。個人・法人の海外とのオンライン取引は拡大を続け、2019年の輸入申告件数は4640万件と、14年以降の6年間で倍増。人手不足に新型コロナウイルス禍が重なり、税関業務の高度化が新たな課題に浮上している。

税関業務のIT化を支援する国の「関税中央分析所」(千葉県柏市)は、体内に隠された不正薬物を検知する技術開発に取り組んでいる。実用化されれば世界初となる捕捉装置「NQR」はラケット状のアンテナを備え、覚せい剤に含まれる物質が発する電波を捉える仕組み。実際の検査業務では探知結果が1分強でパソコン画面に表示される見通しだ。

現在は不審者を税関職員が病院に連れて行きX線検査で見つけるケースが多い。分析所では貨物のX線画像をAIで解析し、品目を自動で識別するシステムも開発しており、19年1月から試験運用を始めた。

税関への先端技術導入は新型コロナ対策としても期待されている。成田・羽田空港などの税関では、ITの力で不審者らに監視の目を張り巡らす一方、電子申告ゲートで携行品検査を簡便に済ませられるようになった。

関税中央分析所は「日進月歩の技術をどう実用化につなげるかが一番の課題」(担当者)と指摘。税関現場で集まるデータを有効活用するため、あらゆるモノをネットでつなぐIoTにも対応する方針だ。

実用化されれば体内に隠された覚せい剤を探知できる世界初の装置「NQR」=8月18日、千葉県柏市実用化されれば体内に隠された覚せい剤を探知できる世界初の装置「NQR」=8月18日、千葉県柏市

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