改革定着、課題も=可視化増、相次ぐ保釈後逃亡―大阪地検証拠改ざんから10年

政治・外交

大阪地検特捜部による証拠改ざん事件が発覚し、主任検事が逮捕されてから21日で10年。事件を機に刑事司法改革が進められ、取り調べの録音・録画(可視化)や日本版「司法取引」(合意制度)が相次いで導入されたが、課題も残っている。

可視化は試行を経て、2019年に検察の独自捜査事件や裁判員裁判対象事件などで義務付けられた。それ以外の事件での試行も増加し、最高検によると、全国の検察庁が実施した対象外事件での取り調べ全過程の可視化件数は、15年度に約3万件だったのが、19年度は約9万件まで拡大した。

ただ、義務付け対象は、刑事事件全体の2~3%にとどまる。弁護士会などからは、適用対象の拡大や逮捕前の任意の取り調べ段階からの可視化を求める声が上がる。

可視化と引き換えに捜査当局の新たな「武器」として18年に導入された司法取引。これまでに3件が適用されたが、初適用となったタイの発電所建設をめぐる汚職事件では、贈賄側の会社元役員について二審判決が部下との共謀を否定し、検察が描いた構図が崩れた。

2件目の日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(66)の報酬をめぐる金融商品取引法違反事件では、ゴーン被告と共に罪に問われた同社元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の弁護側が、司法取引に応じた元秘書室長らの供述の信用性を争っている。

罪を認めなければ保釈されない「人質司法」の問題は、改ざん事件を受け法制審議会などで議論されたが、結局見直しに至らなかった。しかし、裁判所の姿勢には変化も見える。最高裁によると、一審段階の保釈率は、09年の15.6%から18年は32.1%とほぼ倍増した。

一方で、保釈後に被告が逃亡したり、事件を起こしたりするケースも目立つ。ゴーン被告は保釈中の19年12月にレバノンに逃亡したほか、大阪府では同年、保釈取り消しになった被告の逃走事件が相次いだ。統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で起訴された衆院議員秋元司被告(48)は、保釈中に贈賄側証人を買収しようとしたとして再び逮捕、起訴された。

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