課題山積みのデジタル庁=権限・予算で綱引き

政治・外交

菅政権が看板政策に掲げる「デジタル庁」創設に向けた議論では、権限や予算をどう位置付けるか課題は山積みだ。省庁の縦割りを打破してデジタル化の断行を目指すが、今後、衆院選もにらんで成果としたい首相官邸と権限を握る各省庁の綱引きが予想される。

「デジタル庁創設はわが国の経済・社会の大きな転換につながる改革で、今までにないスピードで取り組む必要がある」。菅義偉首相は23日の閣僚会議で改革に全力を挙げる考えを強調した。

デジタル庁創設は、新型コロナウイルス感染拡大を機に顕在化したデジタル化の遅れを受けたもの。マイナンバーカードの普及率は2割に満たず、10万円の現金給付などで現場の混乱を招いた。首相の思いは強く、内閣官房、総務省、経済産業省などに散らばるデジタル政策を集約し、権限を一元化したい考えだ。

焦点はデジタル庁が予算要求や配分、実施権限を一括して担えるかどうかだ。現在は、省庁ごとに政策の実施を担っており、平井卓也デジタル改革担当相は20日の民放番組で「予算要求段階からデジタル庁でやろうと思っている」と意欲を示した。ただ、権限を実際にデジタル庁に移すことになれば、各省庁の反発は必至。政権の思惑通りに運ぶかは不透明だ。

組織の在り方も課題だ。政府内には、設置期間を定めた時限組織が望ましいとの意見がある。政権幹部の一人は「機能的には恒久的に必要なものではない」と指摘。期限を区切ることで集中的にデジタル化に取り組む狙いがあるとみられる。

時限組織の事例としては、東日本大震災からの復興を目的に2012年2月に発足した復興庁がある。政府関係者は「イメージは復興庁。デジタル庁に司令部を集め、実務部隊は各省庁に置く」と解説する。ただ、平井氏は23日、記者団に対し「課題は時限的に解決できるような問題ではない」との考えを示しており、政府内の調整が難航する可能性もある。

菅政権は国と地方のシステム統一化も目指すが、「地方を縛ることはできない」(政権幹部)ため、地方自治体の理解を得ながら進めることが不可欠だ。また、政府が個人情報を把握することへの国民の抵抗感は根強く、丁寧な説明が必要となる。

デジタル改革関係閣僚会議で発言する菅義偉首相(右端)=23日、首相官邸デジタル改革関係閣僚会議で発言する菅義偉首相(右端)=23日、首相官邸

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