菅政権、看板政策に冷や水=デジタル化へ危機対応が課題―東証システム障害

政治・外交

東証で発生した全銘柄の売買停止という異例のシステム障害は、日本社会のデジタル化推進を掲げる菅政権に冷や水を浴びせた。菅義偉首相は「デジタル庁」の設置や、国・地方のシステム統一などを急ぐが、デジタル化の「脆弱(ぜいじゃく)性」も浮き彫りとなる中、不測の事態をどう防ぐかが今後の課題となりそうだ。

「投資家の取引機会の制限につながる。大変遺憾だ」。加藤勝信官房長官は1日午後の記者会見でこう強調。その上で「金融庁で原因究明、再発防止などについて、しっかりとした検証がなされるべきだ」と厳しい口調で語った。

政府は朝から対応に追われた。午前11時から開始予定だった加藤氏の定例会見は約40分ずれ込んだ。システム障害に関する報告を受けていたとみられるが、会見では詳細について「具体的な情報を持っていない」などと苦しい答えに終始した。

会見中、東証が売買の終日停止を発表。このことを記者から問われ、加藤氏は「その話は初めて聞いた」と慌てた表情を見せた。

金融庁の氷見野良三長官は1日午後、首相官邸を訪問し、政権幹部に状況を報告。政府高官は終日の取引停止について「深刻だ」と言葉少なに語るなど、高い支持率でスタートした政権内には重苦しい空気が広がった。

首相は、新型コロナウイルス感染拡大で明らかになった日本社会のデジタル化の遅れを取り戻すことを、政権の最重要課題の一つに位置付けている。しかし、行政側で同様のトラブルが起きれば、影響は国民全体に及びかねない。

政府は来年の通常国会に、デジタル庁設置の関連法案を提出する方針。普及が遅れるマイナンバーカードを2022年度末までにほぼ全国民に交付することや、自治体間で異なるシステムを25年度末までに統一する目標も掲げるが、システム障害などへの対応が大きな論点になりそうだ。

一方、首相が積極的にリーダーシップを発揮した様子は見られない。加藤氏は会見で、システム障害に関する首相の指示について問われ、「特段そういう指示を出されているとは承知していない」と明かした。

首相は1日夕、執務を終えて首相官邸を出る際、記者団から対応を問われたが、無言で立ち去った。

記者会見する加藤勝信官房長官=1日午前、首相官邸記者会見する加藤勝信官房長官=1日午前、首相官邸

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