海洋放出「絶対反対」=福島第1原発の処理水―全漁連会長

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全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長は8日、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法について、「海洋放出に絶対反対と申し上げる」と強い反対姿勢を示した。同日、東京都内で実施した処理水をめぐる政府の意見聴取で述べた。

岸氏は、福島県沿岸の漁業者は原発事故後、10年近く風評被害や漁獲制限など「放射能汚染の問題に苦しんできた」と強調。有力な選択肢とされる海洋放出が行われた場合、風評被害の払拭(ふっしょく)に取り組んできた全国の漁業者の努力が無駄になり、「日本の漁業の将来に壊滅的な影響を与える」と訴えた。

テレビ会議形式で参加した福島県水産加工業連合会の小野利仁代表は、海洋放出すれば福島県産だけでなく、他の都道府県から仕入れ、県内で加工した食品も風評被害を受けると危機感を示した。

処理水の処分方法をめぐっては、政府の小委員会が今年2月に公表した報告書で、処理水を薄めて海に流す海洋放出と大気中への水蒸気放出の二つを「現実的な選択肢」としている。

いずれも風評被害への懸念が根強いが、処理水を貯蔵する原発敷地内のタンクは2022年秋ごろに満杯になる見通しだ。

意見聴取後、江島潔経済産業副大臣は報道陣に「(タンクを置く)敷地が逼迫(ひっぱく)し、方針決定の先送りは難しい」と述べたが、決定時期は明示しなかった。ヒアリングは今回が最後となる可能性がある。

東電福島第1原発から出る処理水の海洋放出に反対意見を述べる全国漁業協同組合連合会の岸宏会長=8日午後、東京都港区東電福島第1原発から出る処理水の海洋放出に反対意見を述べる全国漁業協同組合連合会の岸宏会長=8日午後、東京都港区

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