奈良公園のシカ、餌求め山へ=市街地にも出没、観光客減影響

社会

新型コロナウイルスによる観光客の減少により、奈良公園(奈良市)のシカの行動が変化している。鹿せんべいをもらえなくなったシカが木の実などの餌を求め、観光客が集まる公園中心部から山林部へ移動。市街地での目撃情報も増え、商店の売り物が食べられるなどの被害も出ている。

山林部と中心部からなる同公園の敷地は約511ヘクタールと広大で、天然記念物のシカ約1300頭が生息。年間約1300万人が訪れる人気スポットだ。

北海道大などの調査では、中心部で6月の昼に確認されたシカの数は、コロナ拡大前の1月の昼に比べ約3割減少した。

一方、コロナの影響が広がった2月以降、山林部に向かうシカは増加。同大の立沢史郎助教(保全生態学)は「観光客の鹿せんべいに依存していたシカが自然の植物に目を向け、中心部を離れた」と分析する。

奈良市によると、緊急事態宣言中(4月16日~5月14日)に公園を訪れた日本人観光客は、前年同期比85%減少。4月の市内への訪日外国人旅行者はほぼゼロだった。

周辺の畑や花壇が荒らされるなど市民生活にも影響は出ている。「パンジーなどの鉢が30個ほど荒らされた」と被害を訴えるのは、公園近くで生花店を営む50代男性。7~8月にかけてはほぼ毎日、店の近くでシカを目撃したという。県によると、シカに関する被害の相談は4~10月で36件に上り、昨年度の24件を既に上回っている。

立沢助教はコロナによるシカの行動の変化について、「人に依存せず自然の餌を食べるなど、本来の姿に戻っている」と評価する。ただ、冬が深まると山林部の餌も少なくなり、観光客が回復しなければ体力のないシカが死ぬ恐れもあるという。

周辺住民らへの影響についても、「街に出るシカが増えれば、(車との衝突など)交通事故が増える可能性もある」と懸念を示している。

奈良公園のシカ=奈良市奈良公園のシカ=奈良市

奈良公園のシカ=奈良市奈良公園のシカ=奈良市

奈良公園で、鹿せんべいを買った観光客に群がるシカ=奈良市奈良公園で、鹿せんべいを買った観光客に群がるシカ=奈良市

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