バイデン氏、尖閣の安保条約適用を明言=菅首相と電話会談、日米同盟強化確認

政治・外交

菅義偉首相は12日、米大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領と初の電話会談を行い、新政権下でも日米同盟強化に取り組む方針を確認した。バイデン氏は、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条を自ら取り上げ、沖縄県・尖閣諸島も適用対象になると明言。日本側は「抑止力を引き続き強化する意志が表明された」(加藤勝信官房長官)と歓迎した。

第5条の「尖閣適用」は、2014年4月に来日したオバマ大統領(当時)が言及。バイデン氏は副大統領を務めていた。尖閣周辺で領海侵入などの挑発を重ねる中国をけん制する意味があり、日本政府高官は今回の会談について「100点満点」と安堵(あんど)の表情を見せた。

10分余りの会談で、首相はバイデン氏を「次期大統領」と呼び信頼醸成に努めた。トランプ大統領は大統領選の敗北を認めていないが、首相の「政治判断」(外務省関係者)でバイデン次期政権との関係構築にかじを切った形だ。

新型コロナウイルス対策や、気候変動問題での日米連携も確認。菅政権は「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を看板に掲げ、バイデン氏も地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する方針だ。会談に同席した日本政府関係者は「取り組みたい政策課題が一致した」と評価した。

首相は「日米同盟はわが国周辺地域、国際社会の平和と繁栄に不可欠であり、一層の強化が必要だ。『自由で開かれたインド太平洋』実現に向けて連携したい」と呼び掛けた。バイデン氏は「日米同盟の強化、インド太平洋の平和と安定に協力していくことを楽しみにしている」と応じた。

首相は北朝鮮による拉致問題解決に向けた協力を要請。菅、バイデン両氏は対北朝鮮政策を含め連携していくことを申し合わせた。一方、会談は短時間だったため、対中国政策や在日米軍駐留費の日本側負担(思いやり予算)交渉など日米間の課題について、突っ込んだやりとりはなかった。

バイデン前米副大統領との電話会談後、記者団の質問に答える菅義偉首相(中央)=12日午前、首相官邸バイデン前米副大統領との電話会談後、記者団の質問に答える菅義偉首相(中央)=12日午前、首相官邸

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