クマ対策で知恵比べ=出没増加、ロボットも登場―共生探る動きも

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全国でクマの出没による人身被害が相次いでいる。各地の自治体は警察や猟友会などと連携し、わなを融通したり、オオカミ姿のロボットを導入したりするなど対策を強化。一方で、駆除ではなく、クマとの共生を探る動きも出ている。

環境省によると、4~9月のクマの出没件数は全国で1万3670件に上り、過去5年間で最多を記録した。人間がクマに襲われる被害は昨年度の140件に対し、今年度は9月までで80件(速報値)に上った。

クマは近年、生息域を拡大しており、人間の生活圏内で冬眠や出産もする「里グマ化」が問題となっている。知能や学習能力が高く、駆除対策が難しいとされる。

新潟県では、今年度の出没件数が統計の残る2006年度以降で最多となった。県の担当者は「ブナの実が不作で、クマが食べ物を求めて人里に下りてきている」と指摘する。県は特別警報を出して注意喚起するとともに、クマ用わなを市町村に融通するなどした。

クマの目撃情報は5年に1回程度だったという北海道滝川市は、今年の出没件数が既に10件に上った。住民に被害が出かねない事態に、市はオオカミを模し、威嚇音でクマを追い払うロボットを9月に投入。その後、新たな出没は確認されておらず、「効果があったのではないか」(担当者)と手応えを感じている。

一方、人間とクマの共生を目指す動きもある。自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は、クマが山から下りてきそうな場所にドングリを置いたり、柿や栗の木を植えたりして、人里に出てくるのを防ぐ対策を進めている。

クマが山から下りるのは、環境破壊や異常気象などで餌となる木の実が少なくなったのが原因とされる。室谷悠子会長は「餌不足という根本的問題を解決せず、安易に捕殺を続ければクマはいずれ絶滅する。人里に出てこないよう対策を取りつつ、生息環境の整備に力を入れるべきだ」と訴えている。

クマ対策に効果を挙げているオオカミを模したロボット(北海道滝川市提供)クマ対策に効果を挙げているオオカミを模したロボット(北海道滝川市提供)

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