修学旅行は「安・近・短」=コロナで「安い」から「安全」―地元で学習、定番地苦境

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新型コロナウイルスの影響で、修学旅行の傾向が変化している。キーワードは「安・近・短」。かつて「安い」を指した「安」は「安全」に。そして近場で短期が主流だ。

日本修学旅行協会(東京都中央区)によると、春シーズンはほぼ全ての学校が旅行を中止。秋も見送りが多かったが、国が実施を奨励するなど「子供に思い出を」と求める声が高まり、再検討する動きが増えた。

感染対策で日帰りや1泊に日程を短縮し、行き先は都市部を避け近場に。地元の史跡や景勝地を選ぶ傾向が強い。自治体の助成や「Go To キャンペーン」を使い、浮いた費用で観光バスの台数や宿泊先の部屋数を増やすといった対策を取る学校が多いという。

盛岡市立山王小は、世界遺産の中尊寺や東日本大震災の被災地など岩手県内に目的地を変更した。

陸前高田市の東日本大震災津波伝承館を見学した中村美菜さん(11)は「場所変更はショックだが、来られてうれしい」と話し、後藤敏信校長(58)も「6年生の集大成。全員参加でよかった」と評価した。同館には来年3月までに約200校が訪問を予定し、昨年度の5倍に上る見通しだ。

7月開業のアイヌ文化発信拠点「ウポポイ」(北海道白老町)も人気で、既に350校以上が訪れた。大半が道内からで、担当者は「地元に目が向く機会になった」と歓迎する。知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)も県内予約が増えている。

一方、東京は修学旅行客が激減。都内の大型ホテルはキャンセルが5万人分に上り、担当者は「都心には当面戻らないのでは」と漏らす。京都も例年の3分の1という。

広島市の広島平和記念資料館も来館者が大幅に減少した。被爆者の講話の実施数は昨年の10分の1未満。職員の横谷淳子さんは「平和を学ぶ貴重な機会なのに」と残念がる。対策として、オンライン配信や証言者の派遣講演を進めている。

コロナ後を見据えた動きもある。奈良県は来られなかった生徒にお土産を送る。県の担当者は「収束後も選択肢となるよう縁をつなぎたい」と話した。

東日本大震災津波伝承館で展示の説明を聞く盛岡市立山王小の生徒ら=5日、岩手県陸前高田市東日本大震災津波伝承館で展示の説明を聞く盛岡市立山王小の生徒ら=5日、岩手県陸前高田市

「奇跡の一本松」を見上げる盛岡市立山王小の生徒ら=5日、岩手県陸前高田市「奇跡の一本松」を見上げる盛岡市立山王小の生徒ら=5日、岩手県陸前高田市

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