川辺川ダム建設、国に要請へ=防災で反対から容認、方針転換―蒲島熊本知事

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7月の豪雨で氾濫した熊本県・球磨川流域の治水対策をめぐり、蒲島郁夫知事は19日の県議会全員協議会で、支流である川辺川へのダム建設を国に要請する意向を表明した。2009年の計画中止後、国や県などは「ダムによらない治水」を模索してきたが、抜本的な対策を取れないまま豪雨災害が発生。これまでの建設反対から容認へ大きく方針転換した。蒲島知事は20日に赤羽一嘉国土交通相と会談し、考えを伝える。

蒲島知事は、豪雨による人的被害に対し「重大な責任を感じている」と陳謝。ダム建設要請の理由について「民意は命と環境を守ること。過信はできないが、被害防止の確実性が担保できるダムを選択肢から外せない」と述べた。協議会後の記者会見では、地球温暖化による災害の激甚化を念頭に「社会、民意が変わった」と説明した。

ダムは、洪水時のみ水をためる治水専用の「流水型」とし、治水と利水に使う多目的ダムとしていた従来の計画の「完全な廃止」を国に求めた。これにより、「環境に極限まで配慮できる」としており、ダムを含めたハード対策と早期避難などソフト対策を組み合わせた「流域治水」の実現を目指す。

川辺川ダムをめぐっては、環境保護などを理由に、建設予定地の相良村や人吉市の首長らが08年に計画の白紙撤回を要求し、蒲島知事も反対を表明。09年に当時の民主党政権が建設中止を発表した。

しかし、18年の西日本豪雨や19年の台風19号、今年の7月豪雨と、全国的に大規模な水害が相次いでいる。7月豪雨では熊本県内の死者65人のうち、50人が球磨川流域で亡くなった。これを受け、蒲島知事が8月、ダムも「選択肢の一つ」と発言し、建設の議論が再燃した。

記者会見する熊本県の蒲島郁夫知事=19日、熊本市中央区記者会見する熊本県の蒲島郁夫知事=19日、熊本市中央区

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