真相解明、依然遠く=中村医師殺害1年―アフガン

社会

【ニューデリー時事】アフガニスタンで約30年にわたり医療活動や砂漠緑化に取り組んだNGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表、中村哲医師=当時(73)=が武装集団に殺害されてから4日で1年となる。地元当局は捜査を進めてきたが、依然として真相解明には至っていない。一方、中村医師の志を受け継ごうという動きは各地に広がっている。

殺害現場となった東部ナンガルハル州の知事で、大統領上級顧問のアマルヒル氏は3日、取材に「暗殺犯を特定し、正義を実現することをご遺族や日本国民に誓う」と力を込めた。捜査は地元警察の手を離れ、情報機関の国家保安局(NDS)が担当。長期にわたる貢献を評価され、アフガンの名誉市民権を授与された中村医師の殺害に対し、当局は総力を挙げて捜査を進めている。

事件に関連し、これまでに複数人が拘束されたものの、いずれも訴追には至らなかったもようだ。中村医師が一部地域のかんがいに成功したことで、他地域から恨みを買ったとの説もあるが、真相は不明なままだ。

アフガンではこの1年、中村医師の功績を語り継ごうという動きが数多く生まれた。絵本を作製し、子供たちに配布しているNGO「ガフワラ」設立者のザビーフ・マハディさん(32)は、地元で慕われた中村医師の活躍を絵本「カカ・ムラド」(中村のおじさん)にまとめた。

マハディさん自身、絵本を出版したことで命を狙われるようになり、情報機関から警告を受け、ガフワラの事務所を一時閉鎖した。ただ、「この状況と闘っていくことで中村医師の志を受け継ぐ」と強調した。

首都カブールでは、事件2日後に生まれた子供に「ナカムラ」と名付けた親もいる。また、ナンガルハル州には「中村記念公園」が造られた。「最も弱い立場の人々に奉仕し続けた」(ガニ大統領)中村医師の志は、アフガン人の中に生き続けている。

記者会見するNGO「ペシャワール会」代表の医師中村哲さん=2009年2月、福岡市記者会見するNGO「ペシャワール会」代表の医師中村哲さん=2009年2月、福岡市

中村哲医師の功績を伝えるため、アフガニスタンのNGOが作製した絵本「カカ・ムラド」の日本語版=3日、ニューデリー中村哲医師の功績を伝えるため、アフガニスタンのNGOが作製した絵本「カカ・ムラド」の日本語版=3日、ニューデリー

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