日銀、最大の株式投資家に=ETF購入10年、約45兆円

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日銀が、金融緩和の一環として上場投資信託(ETF)の買い入れを始めてから15日で10年となる。中央銀行がリスクの高い株式関連資産を購入するのは極めて異例だが、日銀が目指す2%の物価目標は達成できないまま。一方で保有残高は時価ベースで約45兆円に膨張し、日銀は国内最大の株式投資家になったとみられる。株式市場は「官製相場」の様相を帯び、株価のゆがみに対する懸念も強い。新型コロナウイルス感染が再拡大する中、「出口」は見いだせない。

日銀がETF購入を始めたのは、白川方明前総裁時代の2010年12月。株価の底割れを防ぐことで経済の好循環をつくり出し、物価上昇につなげる目的だった。当初の購入枠は4500億円。しかし、度重なる追加緩和で買い入れ額は拡大の一途をたどり、今年3月には上限が年間12兆円にまで引き上げられた。

日銀によると、11月末時点のETF保有残高は簿価ベースで約35兆円。ニッセイ基礎研究所の井出真吾上席研究員の推計では、株価上昇を背景に時価ベースでは約45兆円となった。これまで最大の株式投資家だった、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を2000億円程度上回ったもようだ。

井出氏はまた、日銀がETFを通じ発行済み株式数の5%超を実質的に保有している東証1部上場企業は395社と試算。株主の権利を行使することがない日銀が事実上の「大株主」になる企業も増加している。

また日銀の買い入れにより、業績見通しの良くない企業の株価が上がることも多い。企業の株価が実力以上に押し上げられている面は否めず、コロナ禍でも株価がバブル崩壊後の高値を更新するなど、相場の過熱感が台頭している。株価が暴落し、日銀の財務が悪化すれば、通貨の信認が揺らぐことにもなる。

黒田東彦総裁は「ETF買い入れはこれまで大きな役割を果たしてきており、引き続き必要な施策だ」として、当面、見直す必要はないとの考えを示す。日銀内の一部には「いつまでも購入は続けられない」(幹部)との声もあるが、株価が暴落しかねないことへの警戒感からやめられないのが実情だ。

ただ、ETFは国債と違って償還がなく、買い入れを続ければ日銀の保有残高は増える一方だ。みずほ総合研究所の門間一夫エグゼクティブエコノミストは「日銀はETFの処分に向けた方策をなるべく早く検討すべきだ」と指摘している。

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