事件解明「一歩も進まず」=89歳遺族、風化を懸念―世田谷一家殺害20年

社会

東京都世田谷区で宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件は、未解決のまま30日で発生20年を迎える。みきおさんの母節子さん(89)は解決の一報を待ちつつも、「最初から一歩も進んでいないように思う」と心境を吐露した。老朽化が進む現場住宅は、事件風化への懸念から保存を希望している。

今年初め、警視庁から遺品の一部を収めた衣装ケースが返還された。中身はみきおさんが小学生の頃から興味を持っていた恐竜の人形や数十冊の書籍。「結婚してからもまだ凝っていたんだ」と目を細めた。

一番の頼りだった夫の良行さんは8年前、84歳で死去した。節子さんは現在、みきおさん一家と良行さんの遺影が飾られた家で暮らす。カレンダーの日付欄には犯人が捕まらなかった印として、斜線を毎日引いている。

警視庁は、犯人は当時15歳~20代ぐらいの痩せ形で学生の可能性があるとみているが、事件は今も未解決のままだ。「一日一日は長く思っていたが、20年たったと言われると短い期間だった」。節子さんはそう振り返る。

みきおさん宅で週2日、長女にいなちゃん=同(8)=、長男の礼君=同(6)の面倒を見ながら家事を手伝っていた。節子さんが最寄りのバス停で降りると、2人は「おばあちゃん」と叫びながら、家から飛び出して来たという。今月中旬、数年ぶりにそのバス停周辺を訪れた。駆け寄って来る2人の姿はなく、「一層寂しさを感じた」。

事件以降、みきおさん宅には一度も立ち入っていない。「入るのが怖い」という。一方、現場は外壁の亀裂や屋内の雨漏りなど老朽化が進行。警視庁は2019年に取り壊しを打診し、都と遺族側が協議を続けている。節子さんは「なくなってしまうと、事件そのものが忘れられてしまう心配がある」と話す。

30日は一家が眠る埼玉県内の墓を訪れ、4人の冥福を祈る予定だ。「どうしてこんな事件が起きたのか、全然理由が分からない。なぜという疑問だけで何も分からないんです」。節子さんは力なくつぶやいた。

遺品を前に取材に応じる世田谷一家殺害事件遺族の宮沢節子さん=19日、東京都世田谷区遺品を前に取材に応じる世田谷一家殺害事件遺族の宮沢節子さん=19日、東京都世田谷区

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