証拠の山、定まらぬ犯人像=科学捜査、進歩に期待も―世田谷一家殺害20年・警視庁

社会

東京都世田谷区で2000年12月、会社員宮沢みきおさん=当時(44)=一家4人が殺害された事件は未解決のまま30日で20年。現場には犯人の指紋や血液など多数の証拠が残され、捜査幹部には当初、早期解決への楽観ムードさえあった。男のDNA型が検出されており、科学捜査の進歩に期待は残るが、明確な犯人像はいまだ見えない。

◇「指紋」を過信

事件では、みきおさんと妻の泰子さん=同(41)=、長女にいなちゃん=同(8)=が包丁で多数回刺され、長男の礼君=同(6)=は首を絞められていた。現場からは鮮明な指紋が見つかり、A型の血液が検出された。

警視庁成城署捜査本部は決定的とも言える証拠に色めき立ち、当時の捜査幹部は「これは捕まる犯人だ」と語った。その後、指紋捜査に力を注いだが、該当する人物は見つかっていない。

指紋偏重で聞き込みなどが不十分だったのではと、初動の失敗を指摘する声は少なくない。「指紋を過信し、他の捜査をおろそかにした」。別の幹部はそう吐き捨てた。

◇浮かぶ外国人説

現場にはトレーナーやマフラー、凶器の包丁やハンカチといった遺留品も数多く残っていた。捜査本部は犯人の身長は170センチ前後で、残されたヒップバッグのベルトの長さから腰回り70~75センチの痩せ形とみている。またバッグ内側に蛍光ペンに使われる染料が付着していたことなどから、当時15歳~20代の学生の可能性があると推測する。

犯人は外国人との見方もある。現場の靴跡から判明した韓国製スニーカーは、日本で販売されていないサイズだった。捜査関係者によると、DNA型鑑定で、犯人の母親は欧州系の血を引いている可能性があるとの結果も出た。ただ、犯人が日本人ではないと断定されたわけではなかった。

犯人は包丁の柄をハンカチで包み使用したとされ、フィリピン北部で儀式などの際に刃物の柄を包む方法と似ているとの情報も寄せられた。現地の捜査当局に協力要請し調べたが、犯人特定の糸口は見つかっていない。

捜査本部は現在も、現場近くに当時滞在していた外国人の所在確認を進めている。一方、ある捜査幹部は自戒するように語った。「結局は捕まえてなんぼ。決め付けずに考えないと」。

警視庁が公開している犯人像(同庁ホームページから)警視庁が公開している犯人像(同庁ホームページから)

殺害された宮沢みきおさん一家(遺族提供)殺害された宮沢みきおさん一家(遺族提供)

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