菅首相、バイデン政権と関係構築急ぐ=中国にらみ各国と連携―21年・日本外交展望

政治・外交

2021年の日本外交は、20日に発足する米新政権との関係構築が最初の重要課題となる。菅義偉首相はバイデン次期大統領の就任後、2月にも首脳会談を実現させ、日米同盟強化を確認したい考え。経済・軍事両面で存在感を強める中国をにらみ、「自由で開かれたインド太平洋」構想を旗印に各国との連携も進める。環太平洋連携協定(TPP)議長国として世界的な内向き志向に歯止めをかけ、米中対立で混乱した自由貿易・経済体制の立て直しを主導することを狙う。

◇早期訪米探る

「日本外交の基軸は日米同盟だ。バイデン氏とはできる限り早い時期にお会いし、じっくり話し合いたい」。首相は昨年末の講演でこう語った。バイデン氏が大統領に就任する20日以降、通常国会日程や新型コロナウイルス感染状況を見極めながら、訪米のタイミングを探る。

会談が実現すれば、同盟関係にとどまらず、コロナ対応や地球温暖化対策といった世界的課題で意見を交わす見通し。日本側は安倍晋三前首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想が、バイデン政権でも共有されることを期待。トランプ大統領が離脱表明したTPPへの復帰も働き掛けたい意向だ。

米国との間では、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)をめぐる交渉が米側の増額要求で難航。米政権移行期と重なったこともあり停滞している。日本側は新政権発足後に交渉を加速させ、特別協定の期限が切れる3月末までの妥結を目指す。

英国が議長国を務める先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、菅首相にとって初参加となる。トランプ政権時代に傷ついた米欧関係の修復に加え、次世代通信規格5Gを含む経済安全保障や、中国が統制を強める香港情勢が主要議題となりそうだ。今回はオーストラリア、インド、韓国も招待される。

◇対中外交も焦点

アジアでは、覇権主義的な行動を強める中国への対応が引き続き焦点となる。沖縄県・尖閣諸島の領有権を主張する中国は、公船による日本領海侵入を繰り返し、日本漁船を追尾するなどの既成事実化を進める。コロナを理由に延期された習近平国家主席の国賓来日には日本国内で反対論が強く、再調整は進んでいない。米新政権の対中政策も日中関係に影響を及ぼすのは確実で、米中のはざまで難しいかじ取りを迫られる。

韓国との関係も厳しい局面が続く。日本企業に賠償を命じた元徴用工訴訟をめぐる対立が長期化し、出口が見えない。韓国側に差し押さえられた被告企業の資産現金化に向けた手続きが進む中、解決策を探る日韓協議は暗礁に乗り上げている。対立のあおりで、韓国が議長国の日中韓首脳会議は昨年の開催が見送られ、今年もめどが立たない。

北朝鮮情勢も、金正恩朝鮮労働党委員長との対話に前向きだったトランプ米大統領の退任で不透明感を増す。バイデン政権発足後、北朝鮮が米側の出方を試すため弾道ミサイル発射などの挑発行動を再開することが懸念され、日米韓3カ国は警戒を強めている。

懸案の日ロ平和条約交渉は、北方領土をめぐるロシア側の態度硬化やコロナの影響で進展は見込めない状況だ。

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